rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年3月5日 最高人民会議常任委員会常務会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議の開催を報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。同記事は、会議の開催日などには言及しないまま、次の三つの法律の制定・改定が行われたことを伝えている。

  • 葬儀法制定:「党と革命、祖国と人民のために献身的に闘争して亡くなった同紙に対する崇高な道徳義理を守り、革命先輩を尊待することが一つの社会的気風になるように・・することを使命」
  • 移動通信法改定:「移動通信末端機の修理サービスと収買サービス、移動通信末端機利用において守るべき要求、移動通信サービスの中止などを規定した条項の内容をより具体化」
  • 労働報酬法改定:「労働報酬基準の更新と生活費(基本給の意)、賞金、奨励金の計算支払い、労働報酬支払確認をはじめとした労働報酬事業における制度と秩序をより厳格に立てるための内容」

 制定・改定された内容のうち注目されるのは、やはり、「移動通信末端機利用において守るべき要求」がより具体化されたということで、スマホ使用に関する統制の強化を目指したものと考えられる。先般の「平壌文化語保護法」制定による韓国語の影響排除などとも軌を一にしたものと考えられる。

 労働報酬法の改定も、具体的内容は不明であるが、「制度と秩序」の強化とされていることからして、やはり統制的傾向のものと考えることが可能であろう。

 なお、同記事は、会議の開催日のほか参加者などにも言及がなく、崔竜海の安否確認にはつながらなかった。ただ、11月16日の前回報道でも、開催日(15日)は明記されていたが、参加者などには言及がなかったので、特段異例の報道とは言えないであろう。

 いずれにせよ、常任委員会の全員会議のみならず、常務会議(委員長、副委員長、書記長で構成)というごく少人数の会合で法律の制定・改正ができてしまうというのは、特徴的な制度といえよう。