rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年9月2日 評論「今年に特別重視し、必ず良い結実を成し遂げるべき事業」

 

 標記評論は、「党中央委員会第8期第4回全員会議で提示された課題を再認識、再学習しよう」とのサブタイトルを付して掲載されたものである。

 冒頭で、「今年に特別重視し、必ず良い結実を成し遂げるべき事業は、農事と人民の住宅建設である」とした上で、それぞれの課題の重要性を訴えている。

 まず、「農業を盛り立てること」については、「食糧の自給自足を実現し、社会主義建設を促進するためにいかなる代価を払っても必ず解決すべき国家重大事」と位置づけ、「最近引き続いた異常気候現象により農業生産に大きな障害が醸成された」ことを指摘しつつ、「全国が総動員され、自然災害を徹底して防ぎ、農作物施肥管理を科学的にしっかり行い、残された営農作業を実質的に行う」ことを呼びかけている。

 一方、住宅建設については、「人民が最も関心を持つ問題であり、社会主義制度の恵沢を直接肺腑で感じるようにする一次的な問題」であるとして、その重要性を強調している。そして、「(平壌市内などの)住宅建設と(各地の)農村住宅建設が成果的に完工してこそ・・この地のどこででも労働党万歳の声が力強く轟き渡るようになるであろう」と予言している。

 以上のような内容からは、まず、北朝鮮指導部が今年の食糧生産状況について非常に厳しく認識していることがうかがえる。加えて、近々に強力な台風の接近も予測されているところであり、今後の推移が注目される。

 また、住宅建設に関する記述からは、人民の体制に対する支持、信頼の獲得に非常に腐心していることが改めてうかがえる。換言すると、現在までのところ、「労働党万歳の声」がさっぱり聞こえないのであろう。指導部としては、そうした状況で食糧不足が顕在化することは、「いかある代価を払ってでも」避けなければならないのであろう。