rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月24日 評論「正面突破戦は革命の前進発展のための最善の方略」(1月25日記)

 

 「正面突破戦」が何故正しいのかを対外、対内の両面から解説したもの。

 まず、対外的側面から見た理由として、「敵対勢力どもの圧殺策動を無力化し、社会主義建設の新たな活路を切り開くための革命的な闘争戦略である」ことをあげる。その前提には、「敵どもは、自分の力を固く信じ自力で前途を切り開いていく強者を一番怖がり、絶対に傷つけることができない」との認識がある。

 このような表現からは、北朝鮮指導部が、自分さえしっかりしていれば(動揺しなければ)、敵から手を出してくることはないと見ていることが分かり興味深い。

 次に対内的側面から見た理由としては、「我々の主体的力、内的動力をくまなく強化し、社会主義勝利の日を一日も早く促進するための積極的な前進方式である」をあげる。ここで「主体的力、内的動力をくまなく強化」するために必要なのは、「国家管理と経済事業など各分野で時代変遷と現実発展の要求に対応できない現象」を払拭することであり、「(それらを)放任するなら、国の全般事業は混乱と波動に陥ることになる」と警告している。

 また、ここでは「積極的な前進方式」であることの意味として、「国家の発展潜在力を弱化させる要素を客観においてではなく、内部において明確に探し出し、その克服方案を把握した」ことをあげている。これは、換言すると、「敵ども」の対応をはじめ外部環境がどうであれ、内部に存在する問題を改善することによって、勝利が可能になるとの主張といえよう。

 評論を総じてみれば、「正面突破戦」が、その狙いとしては「敵どもの圧殺策動」の粉砕を掲げながらも、実際の行動目標は国内に内在する諸問題の改善にあることが明らかになる。「正面突破戦の主戦場は経済戦線」との主張がなされる所以もまさにそのためであろう。

 以上を勘案すると、北朝鮮が「正面突破戦」を進める中で、進んで文字通りの対外挑発行動に出る可能性は、極めて低いと考えられる。ここで「文字通りの対外挑発行動」というのは、相手方の軍事行動を誘発することを目指した行動という意味である。