rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月29日 金与正の党内序列(補論)

 

 昨日の本ブログで、27日開催の「第6回全国老兵大会」における出席者報道などから、金与正の現在の党内序列を概ね18位と推測した。

 しかし、本日、聯合通信が掲載した同大会主席壇に着席した金与正の拡大写真からは、それとは別の序列も考えられることが判明した。

 同拡大写真は、金与正を中心に、その向かって左側に李日愌(党政治局委員・副委員長)が、右側に太宗秀(元党秘書、氏名が報じられた出席引退幹部7人中3番目)が着席している姿を写している。これを主席壇全体の中で見ると、金正恩を中心に左右に7人づつが着席している最前列の向かって左側端であることが分かる。すなわち、金与正は、李日愌よりも内側=上座に着席していることになる。李日愌は、昨日のブログで紹介したとおり、出席した現役幹部としては、報道で5番目に名前が上げられた人物である(同じ報道で、金与正の名前は、その6人あとにあげられていた)。したがって、同大会に出席した現役幹部だけで言えば、彼女は、金正恩、崔龍海、朴奉柱、李炳哲に次ぐ5番目くらいの位置に着席したことになる。これを基準に考えれば、彼女の党内序列は、欠席した金才竜総理を含めても、「6位前後」といえないこともない。

 つまり、彼女の場合は、氏名が報道される際の序列と着席の際の序列が異なる(ことがありうる)ということである。このような例は、5月のリン肥料工場完工式の際にもみられた現象である。その際、本ブログでも詳細に分析したとおり、彼女の氏名は、報道順序で政治局委員の後ろであったが、式典の際の着席位置を見ると、総理よりは下位ながらも、他の政治局委員よりも上座に座っていた。今次大会でも、概ねそれと同じ状況が再現されたといえる。ただし、最近でも、政治局会議などの際は、本来の委員候補の地位を反映した10数番目に着席している事実を無視することは適当ではないであろう。

 党内序列に占める彼女の地位は、いまだ非常に微妙といわざるをえないのであろう。