rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月21日 姿を消した金与正はいずこへ

 

 19日開催の党中央委員会第7期第6回全員会議のニュース映像を見たが、どれだけ目をこらしても、会場から金与正の姿を確認することができなかった。

 特に、政治局委員メンバーであれば着席しているはずの最前列(20人着席。主席壇の5人を加えると25人になる)、更に2列目(24人着席)には、ほぼ間違いなく着席していない。ちなみに、13日の政治局会議で政治局候補委員に選出された朴明順は、最前列の端の方に着席していた。また、3列目に女性の姿が見えるが、これはおそらく玄松月宣伝扇動部副部長と思われる。

 13日の政治局会議の際にも、金与正の姿が確認できていない。2回連続で出るべき会議に出ていないということになる。また、5日の政務局会議の際にも姿を見せていない(副委員長ではないので必ずしも出席の必要はないともいえるが、同じ政治局委員候補・組織指導部第一副部長の地位にある趙勇元は傍聴で出席していた)。また、6,7両日の金正恩の洪水被災地視察の際の同行も確認できず(ただし、この時の模様は写真だけで動画は公開されていないので、一緒に行っていないと断言はできないが)、8月に入って以降、公式の出現はないことになる。

 結局、公式報道で彼女の姿が確認できるのは、7月27日開催の「第6回全国老兵大会」となる(このときは、本ブログでも分析したとおり主席壇の最前列に着席。にこやかな笑顔をふりまいていた)。それ以前は、その前日26日の軍指揮官に対する拳銃授与式で金正恩に拳銃を手渡す役を務めていたし、20日報道の平壌総合病院建設場、23日報道の光川ニワトリ工場建設場への金正恩の現地指導に同行しており(ニュース映像で確認)、また25日の政治局非常拡大会議にも出席しており(報道写真に姿あり)、特段の異常は認められなかったといえよう。

 7月末ないし8月に入って以降、彼女の身に何が起きているのか、注目すべき点である。

 なお、かつて本ブログで、玄松月副部長について、上記の拳銃授与式、老兵大会、政務局会議などに際し、金正恩の近くで、案内係りのような役割をしていることを紹介したが、その後、最近の政治局会議(13日)、全員会議(19日)においても、金正恩の主席壇登壇に際し同様の動きをしていることがニュース映像で確認できる。また、拳銃授与式と同日に金正恩朝鮮戦争戦死者の慰霊碑に参拝した際にも、同様の動きをしていることが改めてニュース映像を見て確認できた(かつて、「金与正らしき女性の姿」と書いたが、間違いであった)。更に、彼女は、平壌総合病院建設場や光川ニワトリ工場への現地指導にも同行しているので、少なくとも何らかの行事の際に一種「側用人」のような役割を果たしていることは間違いないといえよう。