9月21日 社説「秋収と脱穀を力強く進め今年の農事を成果的に結束しよう」
標記社説は、「最近時期、続けて直面した自然災害により少なからぬ農作物が被害を受けた条件」において、「決定的に秋収と脱穀に総力を集中」すべきことを訴えるものである。
社説は、まず、その重要性について、第一に、「今年の農事をしっかりと結束してこそ、党の路線と方針の正当性を実践で立証し、長年の間、人民のためすべてを皆捧げている我が党の不滅の業績を擁護固守することができ、党第8回大会に向けた総進軍隊伍に活力を加えることができる」こと、第二に、「自らの力で社会主義強国建設を成果的に進めようとするなら、何よりも食糧に余裕がなければならない」ことなどを理由に挙げ、「コメこそ我々の力であり尊厳である」と強調している。
具体的な課題としては、まず、「(収穫を)適期に行うこと」をあげ、各圃場ごとに早すぎず遅くもない適切な時期を見極めることを求めている。また、収穫と脱穀を同時に推進すること、すなわち、収穫した穀物をそのまま放置して毀損することがないよう戒めている。
そして、そのような農作業を適切に指導・推進すべく「幹部が決死の覚悟を抱いて奮発」することを訴え、中でも「特に分組管理制の中で甫田担当責任制の生活力が高く発揚されるようにする」ことを強調している。また、「昨年厳しい干ばつと高温が持続し不足したものが多い中でも最高収穫年度水準を突破することができた最大の秘訣はまさに農業勤労者の精神力を総爆発させたことにある」ことを踏まえて、「創造と革新の最大の予備、奇跡創造の根本の鍵である大衆の精神力を発動させること」の重要性が強調されている。
あわせて、全国の各分野が農村支援に力を注ぐこと、とりわけ農村の「どこでも切実に必要とされている電力」の供給を円滑に行うこと、「移動式脱穀機と各種農機械付属品をより多く生産し速やかに(農村に)送ること」を訴えている。
本ブログでは、これまで紹介できていなかったが、このところの「労働新聞」では、洪水・台風被害などによる穀物生産の現象を「最小化」するための様々な取り組みが連日のように報じられてきた。同社説は、それら取り組みのまさに総決算的な作業として「秋収と脱穀」を位置づけ、それに最善を尽くすよう求めるものといえよう。上記の要約では必ずしも十分に反映できていないかもしれないが、そこからは、全体として、食糧確保に対する切迫した危機感が感じられる。
その背景には、今年の食糧生産の結果が、来年の党大会で示される新たな路線・政策に大きな影響を及ぼす可能性があるのであろう。仮に、昨年同程度ないし微減程度の水準を維持できれば(たとえ、「国家経済発展5か年戦略」は実現できなかったとしても)「苦難を克服した勝利者の大会」といった演出が可能であろうし、逆に、食糧の大幅な需給ギャップを生じるほどの不作ということになれば、今は拒否している外部からの支援受け入れを検討せざるを得なくなり、「自力更生」路線にも影を落とすことになろう(それが韓国政府の期待するコースかもしれない)。同社説の上掲のような主張は、単なる修辞ではなく、そのような可能性を踏まえた切実なものと考えられる。