rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月16日 社説「幹部は、党の構想に沿って理想と抱負を立てよう」

 

 標記社説は、「党の構想に沿って理想と抱負を立てる」ということについて、「(幹部が)党が望むものが何かをしっかり知って、その貫徹のため自らのすべてをみな捧げていくということを意味する」とした上で、幹部に求められるものとして、次のような点を強調している。

 まず、「人民のために真に服務する人民の従僕になる」ことである。これは、「党の構想」の基本が「人民大衆第一主義」にあることを前提としたもので、最近の主張に即したものであるが、注目されるのは、その文脈において、「過去の時期にはたとえ役に立ったとしても、今日の時期に合わなければ大胆に捨て、すべてを新たに着想し、大規模に展開しなければならない」と主張されている点である。ただ、これが何を意味するかについての即断は控えたい。

 次に求められているのは、「自分の部門、自分の単位の事業を党が望む高さで完全無欠にやりとげる熟練した組織者、頑強な実践家になる」こと、そして「高い献身性、自己犠牲精神を発揮する」ことである。自分は座ったまま、あれこれと指図だけするのではなく、「自らの手で種をまき、果実を収穫する」べきことが強調されている。

 また、「絶え間なく実力を積み、視野を不断に広げていく」べきとの要求もある。「世界的な発展趨勢を反映して単位の発展戦略を野心満々と立て、徹底して貫徹」していくことが求められているのである。

 最後に掲げられるのは、定番の「党組織の役割を最大に発揮する」ことである。そこでは、批判対象として、「目標を適当に立て、欲をかかない程度に生きていく現象、目の前の事情に捕らわれて国家的利益を無視し、自己の単位の利益だけを考える現象、小さな成果に満足し前進しない現象」を列挙し、それらとの「闘争」を強化すべきことが求められている。

 同社説の以上のような主張の背景には、党(=金正恩)の崇高・遠大な構想の実現に向けた幹部の取組みが不十分である、との認識が存在すると考えられる。本ブログでも繰り返し紹介している、党の意図ないし決定の実現に向けた真摯な取り組みを訴える昨今の論調が、それと同様の認識を背景にしていることは、改めていうまでもないであろう。前述批判対象として描写されたような幹部の守旧的姿勢に対する金正恩の焦慮は実に深いと思われる。