rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月22日 社説「党組織が経済事業に対する方向舵的役割をしっかり果たしていこう」

 

 経済事業において党組織が「方向舵的役割」を果たしていくべきと言うのは、先の中央委員会第8期第2回全員会議において金正恩が主張したところであるが、標記社説は、その趣旨を敷衍したものといえる。

 社説は、まず、その言葉の意味について、「人民経済計画遂行に対する党組機の方向舵的役割は、本質において党政策的要求に即して経済事業が円満に進行されるよう導き、その線上から脱線しないよう正しく指導する事業である」と説明している。

 そして、「近年、一部行政経済幹部の中では、不利な客観的条件を口実にして党が提示した経済政策を無限の忠実性と責任制を発揮して徹底的に貫徹できないという厳重な欠陥が現れた」ことを指摘した上で、そのような問題は、まさに党の指導的機能が果たされていないことの結果であると主張し、その改善の必要を訴える。

 各級党組織が「方向舵的役割」をしっかり果たすための具体的方策としては、「何よりも、自己の単位に示達された人民経済計画を違えることなく遂行するための正しい方法論と具体的な作戦案を樹立」することをあげる。

 次にあげるのは、「(各単位の)行政経済事業が党政策的要求に即して正確に進行されるよう積極的に後押しし、現れた偏向を適時に正しく把握」することである。そのため特に強調されるのは、「月生産総括を(単に経済実務的にではなく)強い思想闘争の方法で」行うことである。

 このほか、「経済行政幹部」の主体性を引き出すべき積極的に指導・支援することや党幹部自身が「政治実務水準を決定的に高める」ことを求めている。

 以上のような各単位(企業所、工場など)における党組織の活動は、一般には、「組織政治事業」と呼ばれるものと考えられる。そのあり方については、例えば2月9日付け「労働新聞」掲載の論説「主動的で巧みな組織政治事業は、党決定貫徹の重要な担保」が分かりやすく解説している。同論説によると、組織政治事業において「何よりも重要なことは、戦闘目標と計画を現実性をもって立てること」であり、それは「(各人に対する)具体的な任務分担と一体となってつながっている」という。あわせて、「定期的な了解(状況把握)と指導、総括と評価事業は、その貫徹を力強く推動する契機となる」という。もう一つの柱が「思想動員事業」であり、「群衆の中に深く入り込み彼らの心臓に火をつけ、それが醒めてしまわないよう政治事業を目的指向性をもって」行っていくことを求めている。

 こうした党組織の活動の裏付けがあってはじめて各単位の活動が円滑・順調に進められるというのが北朝鮮の実情なのであろう。「方向舵的」というのは新しい表現かもしれないが、求めていることは、事実上従前どおりの党の基本的機能・役割の発揮といえる。