rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年1月27日 社説「幹部は党性、革命性、献身性を発揮し党決定を着実に、確実に執行していこう」

 

 標記社説は、幹部に対し奮闘、献身を呼びかけたもの。具体的な要求として掲げられているのは、次のような点である。

 まず、「党決定の運命が自分の肩の上に置かれているという非常な自覚と意志を百倍、千倍へと固めなければならない」として、幹部が自らの職責に対する責任感を高めることを要求している。

 特に、「経済指導幹部の任務と役割が極めて重要である」として、経済部門幹部に対し、意識改革を訴えている。そこで具体的に求めているのは、「我が党が望む経済発展は、何か統計数字上によるものではなく、人民の認定を受ける真正な発展、展望性のある発展とならなければならないことを銘記」することなどである。

 次に、「幹部の党性、革命性、献身性は、高い実力と結びつくときより高く発揮されることになる」として、「実力」の涵養を訴えている。具体的には、政策への精通などとともに、「科学技術の時代に科学を知らず技術を軽視して自己の部門と単位の事業において改善を収めることはできない」として、「科学技術学習熱気を引き続き高潮させていく」ことを求めている。

 また、「党組織の役割を決定的に高めなければならない」として、党の組織活動を通じて、幹部の間で、「追及を受けない程度に働く現象、評価を受けられることにだけ神経を使う現象、科学的な打算と明確な方法論なく、その場しのぎ式に働く現象をはじめとしたあらゆる非革命的で非積極的なものを一掃する」ことを求めている。

 いずれの要求も、今、北朝鮮において、広範に存在する幹部の執務姿勢を如実に反映したものと考えられる。そして、金正恩は、こうした姿勢こそが自らの構想実現を妨げる最大の要因と考えているのであろう。しかし、果たしてそうなのか、より根源的には、幹部にそうした姿勢を取らしめている制度的、体制的要因があるのではないかという点について再考を促したい。