rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月22日 論説「党幹部の水準こそ事業における実績である」

 

 標記論説は、党幹部に対して、自らの執務能力、資質の向上に向けた努力を訴えるもの。「作風(執務姿勢)さえ良ければ、群衆と息を合わせることができ、群衆との事業を円満に行えると考えるなら、それは誤りである」とした上で、「高い政治実務資質は、ただ学習と実践活動を通じてのみ蓄積される。党幹部の発言権と事業権威は、職位や(学歴などの)看板によってではなく、実力によって担保される」として、実力涵養の重要性を主張する。

 なかでも「新世代党幹部であるほど、自己修養と鍛錬を強化してこそ、党事業を始から斬新に、革新的に行うようになり、人民の党幹部らしい風貌を備えることになる」として、「新世代幹部」への期待を示している。ここで「新世代」が具体的にどのような年代を指すのか明らかでないが、特定の年齢層を指すというよりは、「今後も活動を続けていこうとする者」という趣旨ではないかとも考えられる。

 そして、注目すべきは、そのような能力涵養の目的として、「党(=金正恩)の意図」の具現化を挙げていることである。「我が党幹部が水準と能力を高めるために覚醒奮発し最大の情熱を傾けてこそ、党の意図に即して事業を作戦し実践することができる。まさにこのような党幹部が多いほど党政策の生活力がはっきりと誇示され我々の前進速度も非常に速くなる」との主張がそれである。

 北朝鮮において期待される能力とは、自ら判断して目標を定めるためのものではなく、あくまでも党すなわち領導者によって与え示された目標を実践遂行するための方法論を探し出すためのものといえよう。