rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月22日 「1条項1条項実質的に執行するとき 順川地区炭鉱連合企業所党委員会事業において」

 

 標記記事は、「党の決定と指示を一寸の違いもなく無条件に徹底して貫徹しよう」との共通題目の下に掲載された記事の一つであり、生産現場における「党決定」の具現化過程を紹介したものである。

 同記事によると、党中央の決定・指示が下されてきた場合、「以前には、(同連合企業所の)党委員会執行委員達が集まって決定書草案を作成し、それが(党委員会の)会議でそのまま党決定として採択される場合」が多かったために、「(その)決定に現実的な問題が具体的に反映されず、党決定に対する党員達の観点と態度も積極的たりえなかった」という。

 しかし、最近では、「(連合企業所党委員会の)委員、候補委員達にあらかじめ決定書草案を配布し、彼らが党員大衆の中に入って1条項1条項確認し、討議に付すようにした。このようにしたため、下部単位の実情が正確に反映された現実的で核心的な問題が提起され、それが決定書草案に補充されるようになった」という。ただし、そこには問題もあって、「現実性のない問題を反映したり、上部から資材が保障されることを条件として何をどれだけするといった式に目標を立てようとする傾向」が現れたという。それらについては指導・修正を図った上で、党委員会会議を開催し、「補充更新した決定書草案について真摯な討議」すなわち「1条項1条項、一句一句確認しつつ討議したため、会議参加者たち皆が自分の意思を積極的に反映」することができたとしている。

 次に、「(決定の)条項ごとに実質的に執行するよう」にするための取り組みについて、「(宣伝教養活動を先行させて)雰囲気を立てるとともに工事において実際に難所となる問題を解決することに力を注」いだ例が紹介されている。そこでは、党幹部が当該部分を担当する労働者と「対座して、・・・(当該作業の)重要性を深く認識させつつ、虚心坦懐に話を交え」、その過程で「ある旋盤工が奇抜な着想を提出し」、課題実現に至ったという。なお、ここで「奇抜な」というのは「卓越した」という意味であろう。

 以上の記事が現実をそのまま紹介したものなのか、あるいは脚色・理想化されたものであるのか定かでない。いずれにせよ、それがまさに今、指導部が求めている生産現場における党組織の活動の模範例、換言すると北朝鮮が目指す「大衆動員」のあり方といえるのではないだろうか。