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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月11日 論説「党会議決定を最後まで徹底して貫徹しなければならない」

 

 標記論説は、先の政治局第7期第14回会議を前提にしたものではあるが、特定の会議ないし課題に限らず、党の会議決定一般について、その貫徹の必要性を主張するものである。

 論説は、まず、最近の党運営に関し、「今日、我が党は、革命情勢と時代発展の要求に合わせて党会議を正常的に招集し、党と国家の活動において提起される重要な問題について集団的に討議決定している。ここには、革命と建設のすべての分野に対する党の領導的役割と機能をくまなく強化し、社会主義建設の勝利的前進を加速化していこうとの我が党の揺るぎない意志が込められている」と述べ、会議における「集団的な討議決定」の重要性を強調している。その上で、「党会議決定を最後まで徹底して貫徹する上で重要なこと」として、次の2点をあげる。

 第一は、「5分熱度式仕事ぶりを決定的に根こそぎにすること」である。ここで「5分熱度式とは、事業を最後の結果を出すときまで行わず、しばらく熱誠を尽くすようなふりをして、いつのまにか止めてしまう働き方、事業態度」であるという。このような現象は、単純に担当者の根気不足といった個人的資質の問題だけに起因するものではなく、党の決定が次々に下されることあるためのようである。そのことは、「革命が深化する過程では、党会議決定が引き続き採択されることになる。その中には、恒久的に堅持すべき課題もあり、切迫して遂行すべき課題もありうる。しかし、このことが5分熱度式仕事ぶり、慢性病を正当化する防護壁になることはできない」との主張からうかがうことができる。

 論説は、そういった事情にかかわらず、党会議決定を貫徹すべき理由として、「自分たちが手を挙げて賛成した党会議決定は、党の前で確認した誓い、人民の前で確認した誓いである」ことをあげる。このような主張からは、逆に、冒頭に述べた「会議の正常的な招集」の狙いが、とりわけ幹部層からの責任感・参加意識の引き出しなどにあることがうかがわれる。

 第二に強調されるのは、「(党としての)指導と総括事業を強化すること」である。「党会議で採択された決定の執行状況に対する正常的(定期的の意)な了解と指導、総括事業は、その貫徹を力強く推動する契機となる」。そのためには、「幹部がしばしば下部に降りて行って懸案問題は何であり、解決策はどこにあるかを共に探し、党会議決定貫徹のための闘争を率先して先頭に立って導く」ことを訴えている。

 そして、結びの部分で改めて強調されるのは、界外決定の貫徹を実現する上での「幹部の役割は実に大きい」ということで、「党の決定と指示は法であり、(どの程度なら出来るとかの)取引する権利がなく、無条件に執行しなければならないとの確固たる観点」を持つことを求めている。

 論説が指摘しているように、金正恩時代に入って、更に最近では一層顕著に、様々な党会議が招集され、重要方針の策定は、そこでなされる傾向がうかがわれる。本論説は、そのような統治スタイルには、「自分たちが手を挙げて賛成した」ことを根拠として、党決定の実践に人々の参加意識を引き出すとの狙いがあることをうかがわせるものといえよう。ただし、それは、逆に言えば、英明なる最高指導者の決定というだけでは、人々の主動的な取り組みが期待しがたくなっているということを物語っているとも考えられる。