rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月22日 論説「偉大な金正恩同志は革命的党建設の傑出した英才であられる」

 

 金正恩執権以来8年を回顧し、とりわけ党建設面における同人の業績を称賛する長編論説。筆者が3人というのも異例で、何故、この時期にこの点を改めて回顧するのか、よく分からないが、とりあえず内容を紹介したい。

 まず、論説は、「(執権以来8年の間に)敬愛する最高領導者同志(金正恩)が成し遂げられた巨大な業績の中でも最も特出した席を占めるのは我が党を主体革命偉業を嚮導する不敗の党として強化発展させられたことである」とした上で、「1」において、そうして建設された朝鮮労働党がいかなる意味で優れているかを、「2」において、いかなる点で党を強化したかを、2部構成で論じている。

 「1」では、冒頭、同党の「戦闘力」に焦点を当て、それが「試練の時期にはっきりと検証される」として、例えば「言葉でだけ人民を叫ぶ広告党」などとの違いを主張している。そして、そのような戦闘力を担保するものとして、党の特性を次のように列挙する。

 その第一は、「自己の創党理念と本質をしっかりと固守していく」ことである。これは、要するに困難に屈しないとの意味で、「我が党は国家と人民の根本利益を実現するためであるなら、行く道にたとえ地雷原があっても躊躇なく選択し、敵の誹謗中傷と圧迫が悪辣になればなるほど自分の偉業が正しいということを確信する」と主張する。

 第二は、「正しい路線と政策で社会主義偉業を絶え間なく高揚へと上昇させる」ことである。これは、長期的観点からの政策判断をしているとの意味で、「我が党の路線と政策は、目前の難関を克服するための一時的な対応策ではなく、国家と人民の将来運命、革命の今日と明日をみな引き受ける、最も責任ある未来志向的な戦略戦術である」と主張する。

 第三は、「頑強な実践力により、打ち出した目標を輝かしく占領していく」ことである。この趣旨は、「いったん構想を広げればそれを無条件に実現する」ということで、「まさにそれが尊厳高い我が党の権威であり栄誉であり威力である」と主張する。

 そして、それらを総合して、「(党建設の)最も輝かしい業績は党に対する人民の信頼感を守り抜き、より厚くしたことである」と自賛する。

 次の「2」においては、「革命の参謀部である党を組織思想的に強化し、その戦闘的機能と役割を非常に高めたこと」を「(金正恩の)業績の中で基本中の基本」と位置づけ、次のように成果を列挙する。

 第一は、「党事業全般を正規化し、党の基礎をよりしっかりと固めたこと」である。具体的には、「(各種の)党会議を正常的に招集」し、「(党政策を)民主義と創造性を充分に発揚させ、集団的に討議決定するようにされ」、「全党的な接受(決定伝達)討議事業が党員大衆を喚起する思想動員過程、作戦(立案)過程、任務分担過程となるようにされた」ことなどである。その結果、「すべての問題を党中央に報告し、唯一的結論にしたがって処理し、党中央の思想と方針、指示を決死貫徹する気風が徹底して確立することとなり、党に正面から挑戦した現代版宗派一党が摘発粛清」されたと主張している。

 第二は、「党事業全般を徹頭徹尾、人民大衆第一主義によって一貫させ」たことである。そのために、「金日成金正日主義が本質において人民大衆第一主義であり、我が党の存在方式も人民に対する滅私服務であるとの思想」を提示するとともに、「権柄と官僚主義、不正腐敗に対しては、誰であれ秋毫の妥協も寛容もしらない」との姿勢を貫き、結果、「労働党万歳の声が轟いている」と主張する。

 第三は、「党事業の形式と方法を現実発展の要求にあうよう革新」したことである。具体的には、「行政代行主義をなくし、自己の職能に合わせ責任を持って事業する」「消防隊式働き方を決定的に克服し、生じ得る偏向を未然に対策する」「人々の認識能力と人間改造の合法則性にあわせて宣伝扇動事業を最適化、最良化する」ことなどに関する「思想」を示したと主張している。

 第四は、「各級党組織の戦闘的機能と役割を非常に高めた」ことである。具体的には、「各道・市・郡党委員会が党中央の構想と意図を高く奉じて党政策擁衛戦の火の手を強く燃え上がらせるように」したことや「党細胞と初級党(党の末端機関)の強化に根本的転換」をもたらしたことなどである。なお、前者については、「平壌市党委員会と江原道党委員会が模範を創造」しそれを他に普及させる方式をとったとしている。

 論説は、最後に、「我が革命は力強く前進しているが、これに反発する敵対勢力どもの挑戦は執拗であり、直面する難関も容易ではない」とした上で、「我々は、冷徹な判断に基づいた適切で果敢な対策により党事業に新たな転換を起こし、今日の正面突破戦が実際的な跳躍期、高揚期となるようにしなければならない」と訴えている。

 以上の論説の内容は、もちろん総じて自画自賛・我田引水の主張であるにせよ、「1」では北朝鮮の自己認識を、「2」では金正恩の党建設面での力点の置き方を、それなりに如実に表しているように思われる。

 それとやや気になるのが、最後の結論部分だけが妙に冷静なトーンでの訴えとなっていることである。「正面突破戦」を大仰なスローガンを叫ぶだけで終わらせず、何とか「実際的」な成果に結び付けたいとの思いの発露であろうか。そもそも、冒頭に述べたとおり、何故、今、この訴えなのか。位置づけが難しい論説である。