rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月26日 「人民経済諸部門で重要指標別計画、連日超過完遂」

 

 標記記事は、前掲の論説と同じく「偉大な党の訴えにしたがって80日戦闘の火の手を高く、党第8回を誇らしい成果で迎えよう」との共通題目の下で掲載されたもので、「80日戦闘」における各部門の計画達成状況を紹介している。

 同記事は、まず発電部門に関し、火力発電部門で「毎日、電力生産計画を超過遂行している」とする一方、水力発電部門では「水の管理及び設備運営をより科学的に行い、点検保守を正常化しつつ、生産的昂揚を起こしている」とするだけで、具体的な計画達成状況への言及は避けている。

 また、石炭工業部門に関しては、「(石炭工業)省では、最近何日間かだけでも毎日、石炭生産目標を103%と超過遂行している」と唯一数字をあげて成果を示している。

 このほか、林業部門に関しては、「諸単位において毎日、託された丸太生産計画を超過遂行している」としている。

 一方で、「計画達成」に直接言及のない部門も少なくない。金属工業部門に関しては、「鉄鋼材生産において革新を起こしている」とするにとどまっている。また、「各地セメント生産単位において80日戦闘の火の手高く連日、偉勲を創造している」、「鉄道運輸部門の幹部と労働階級が増送(輸送量増加の意味であろう)の奇跡の声を高く轟かせている」などの表現も、実際に部門全体として計画がどの程度達成されているのかを曖昧にするものといえ、おそらく、部門全体として「超過達成」とは言えない状況にあるのであろう。

 ここで示された各部門の状況を23日の本ブログで紹介した「80日戦闘」の最初の8日間の各部門実績報道と比較してみる。

 まず、発電部門では火力発電のみ「超過達成」とされている点は同じだが、8日間の実績で示されていた具体的達成率(「110%」)が今日の記事では示されていない。

 石炭工業部門は、8日間の実績が「102%」であったところ、「103%」に増加しており、部門全体として引き続き好調であることがうかがわれる。

 林業部門については、前回は言及なく、「超過達成」単位が頻出したため今回は紹介されたのであろう。

 一方、金属工業部門及びセメント工業部門については、部門全体としての計画達成などの表現は、8日間の実績としても示されておらず(ただし、金属工業部門の個別企業所については超過達成の言及あり)、苦戦していることがうかがわれる。

 また、鉄道運輸部門については、8日間の実績では「1日平均で102%」と具体的数字が示されていたところであり、その勢いに陰りが生じている可能性がある。

 更に、前回の記事で紹介された肥料生産については、同記事には言及がない。

 総じて言うと、本記事の標題が醸し出すイメージとは裏腹に、比較的好調なのは、火力発電部門と石炭工業部門などにとどまり、他は概して苦戦中ということではないだろうか。