rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月26日 閲兵式を真夜中に挙行した理由

 

 標記については、かねて不思議に思っていたが、本日の「労働新聞」紙面にそれを解くヒントとなる記述があったので紹介したい。

 それは、「偉大な党の訴えにしたがって80日戦闘の火の手を高く、党第8回を誇らしい成果で迎えよう」との共通題目の下で掲載された論説「全人民的攻撃戦において勝利の鍵は精神力発動にある」の中の一節である。

 同論説の主旨は、その題目の示すとおり「奇跡を生む母は、大衆の精神力であり、社会主義強国建設で新たな全盛期を切り開くための基本となる鍵は、大衆の心臓に火をつけることである」というものである。そして、その方法としては、「大衆の精神力を発動する上で基本は、思想事業の効果性を高めることである」と主張し、「今日、思想事業の実効性を高める上で警戒すべきこと」として、「同じ方式と方法を継続して反復すること」を指摘し、「思想教養事業において図式主義、形式主義は大衆の中で慢性的な態度と拒否感を生むことになる」と戒めている。

 その上で、「今年の党創建75周年慶祝行事があのように大きな衝撃で世界を揺るがし、我が人民の革命的気勢と戦闘的士気を昂揚させることができた重要な秘訣の一つは、まさにその形式と方法において前例のないものであるというところにある」と主張している。

 このような主張は、党創建記念日における、午前零時からの閲兵式の開始とそれから明け方まで続いた花火大会、市民パレード、たいまつ行進、そして群衆集会という異例の行事展開が、前例踏襲的な方式を避け、新たな方式を導入することによって、参加者及び観衆に与えるインパクトを少しでも強めようとの狙いの下で企画されたことを物語るものといえよう。なお、北朝鮮において、それら行事は、決して単なる記念行事ではなく、思想教養事業の一環であることは、改めていうまでもないであろう。