rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月6日 各地で青年が困難部門に「進出」との動きを報道

 

 3月5日の本ブログで南浦市内の140余名の青年が自ら志望して農村に進出したことを報じる記事を紹介したが、同種の報道は、その後も散発的に続いている。

 そのような動きを総括したと思われるのが、同月17日付け「労働新聞」に掲載された「党の呼びかけに実践で答える青年前衛の思想精神的風貌の誇示 朝鮮労働党第8回大会以後、全国で1300余名の青年が困難で大変な部門へと積極嘆願」と題する記事で、上記南浦市の動きをはじめとして、黄海南道で260余名の青年が協同農場及び道青年突撃隊に進出したこと、咸鏡北道平安北道の青年が主要工場、企業所、炭鉱、鉱山と社会主義農村に進出したこと、慈江道の80余名の青年が道青年突撃隊に入隊したこと、などを報じた。

 ところが、これで一段落と思いきや、最近になって、改めて同種の動きが報じられ始めた。

 4月4日付け同紙に「青年前衛、高貴な呼びかけを胸に刻んで 江原道内の数十名青年たち、諸部門に嘆願」と題する記事が掲載され、元山師範大学と元山教員大学の卒業生が革命史跡部門と僻地の学校に、またその他の青年が軍民発電所建設場と社会主義農村に進出したことを報じている。

 翌5日には朝鮮中央通信が「慈江道の百数十名青年、経済建設の主要戦区に嘆願」と題する記事を配信している(「労働新聞」には未掲載)。

 また、たまたま見たのだが、同日の朝鮮中央放送のテレビニュースでも、以上のような各地の動きをまとめて報道していた。それによると、各道で当地の青年同盟幹部ら出席の下、そういった青年を激励・歓送する集会を開催している模様である。

 一連の報道では、こうした青年らの進出は、社会主義建設に貢献したいとの熱意に基づくものであり、北朝鮮社会の「美風」を象徴するものと美化しているが、実際のところ、彼らがどのような理由・背景でこうした部門への進出を希望し、心中にどのような思いを抱いているのかは知る由もない。また、当局がこのようなキャンペーンを展開している理由も今一つ判然としない。

 ただ、少なくともこれら報道から明らかなことは、農村や炭鉱、鉱山はもとより、重工業部門の工場なども、都市の青年が勤務を希望しない職場になっているということであろう。