rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年7月17日 青年の「進出」キャンペーン継続

 

 本日の「労働新聞」掲載の「党が벽(意味不明)を響かせば江山を震撼させる青年前衛の気象を力強く誇示 青年の中で困難で大変な部門への嘆願熱気継続高潮、美風先駆者隊列急速に増大」と題する記事は、各地青年の困難職場・地域への進出キャンペーンが続いているとした上で、その人数について、「党第8回大会以降、その数は、現在までに約1万名を数えており、時々刻々と増大し続けている」と報じている。 

 同記事では、これに加えて、各地青年が「自分自身よりもまず国を考え、同志の痛みを自分の痛みとみなしつつ、社会と集団のために献身」する、様々な「美風」発揮の事例を紹介している。

 そこで顕彰されているのは、例えば、「事故で死の淵にあった患者に自分の皮膚を提供」した140名の青年であるとか、「川に流されている学生を発見し、水中に飛び込んで救援」した青年、栄誉軍人(傷痍軍人の意)と結婚した看護師などであり、このほか各地青年により、「人民軍隊を物心両面で援護し、栄誉軍人の生活を温かく見守る」などの活動が広く行われていると報じている。

 同キャンペーンは、3月5日に南浦市の140名の青年が自ら志願して困難職場に進出したことが報じられて以来続けられてきたもので、その参加者数については、4月13日に「1,600名」と報じられ、更に、7月3日のテレビ報道で「9,800人、6月中だけで6,200人」と伝えられていた(7月5日付け本ブログ参照)。この数字は、おそらく6月末で集計したものとみられるので、本日の報道は、実際のところ、今月に入って以降、同キャンペーンの参加者数がほとんど変化していない(少なくとも6月中の勢いは完全に失速している)ことを物語っているようにも思える。

 同記事後段の内容は、そうした「進出」数の低迷を反映して、それを補うために、各地元で模範的な活動を行っている者を「美風先駆者」として顕彰し、それに見習うことを訴える狙いによるものであろう。

 こうした運動の展開ぶりからは、同キャンペーンが農村や困難職場への労働力提供というよりは、むしろ、模範的青年の「美風」を宣伝材料とした青年層一般に対する思想教化に主たる狙いを置いていることを改めてうかがうことができる。