rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年4月12日 金正恩の「最高首位推戴10周年」関連動向(続報)

 

 標記に関しては、10日、11日の本ブログでも逐次紹介してきたが、2012年4月11日の党第4回代表者会における党第一秘書就任から丁度10年目にあたる昨11日には、全国で盛大な祝賀活動が展開された。

 本日の「労働新聞」掲載の記事を総合すると、平壌をはじめ各道所在地及び市、郡において、青年同盟と女性同盟がそれぞれ慶祝舞踏会を開催したほか、「中央の芸術団体と平壌市内の芸術小組の慶祝公演が首都の各所で実施」され、「各地の勤労団体組織の慶祝集会」が開催された。

 これら活動は、10日の活動が「報告大会」「祝電採択集会」などの政治色の強いものであったのに比較すると、むしろ祝祭的な傾向が強いものといえ、要するに11日は全国的に祝日ムードが演出されたと考えられる。

 いずれにせよ、金正恩の「最高首位推戴10周年」をめぐる慶祝活動のこうした実施ぶりは、去る2月16日の金正日誕生80周年に際しての慶祝活動に概ね準じたものといえる。去る1月19日に開催された党中央委第8期第6回政治局会議においては、金日成誕生110周年及び金正日誕生80周年慶祝活動の盛大な実施方針が決定されたが、実は、金正恩の「最高首位推戴10周年」も、それと同等に位置づけられていたと言っても過言ではないであろう。こうしたことからも、金正恩の権威高揚(先代首領との同格化)が進んでいることが改めてうかがわれる。

 なお、その11日、金正恩本人は、平壌市内毎年1万戸住宅建設として最初に完工した松華街の竣工式に出席、テープカットを行っている。金正恩の人民生活向上における実績を印象付ける演出とも考えられる。

 ちなみに、同竣工式では、金徳訓総理が「竣工辞」を述べ、同地建設に関する金正恩の指導を最大限賞賛した上で、「全国の祝福の中で新居への入居という慶事を迎えた首都市民が今日のこの感激を大切に保ち、祖国の富強繁栄のために心身をみな捧げるであろうと信じます」と恩着せがましいことを言っている。先般の宣伝部門幹部講習会での金正恩書簡に示された「人民に幸福で文明な生活を準備してやることも重要だが、彼らが真情で党と国家の恵沢を有難く受け止め、それに報いるため努力するよう教養することがより重要」との教えを忠実に反映したものと言えよう。