rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年5月8日 国内での反米・対南対決キャンペーンを継続

 

 本日の「労働新聞」は、「不倶戴天の仇敵に峻厳な鉄槌を下す全民の報復意志強く噴出 各道、市、勤労団体組織で復讐決意集会、討論集会連日開催」と題する記事を掲載して、4日付け本ブログで紹介した青年同盟、勤労者同盟、女性同盟(その後、農業勤労者同盟も)による反米・対南非難集会開催の動きがその後、全国各地に拡大していることを報じている。同記事によると、「(それら)集会が開催されている間、すべての参加者たちは、偉大な戦勝世代の後代らしく侵略者を無慈悲に一掃し、この地の上に主体の社会主義強国を必ず樹立してやまない確固不動の意志が反映されたスローガンを力強く叫んだ」という。

 また、同記事とは別に、「祖国愛が熱烈であるほど仇敵に対する憎悪は厳しくなる」と題する評論も掲載され、「この地の老若男女皆が侵略と売国の群れに対する無慈悲な撃滅の意志によって信条の血をふつふつと沸き立たせている」と主張している。そこでは、「女性同盟員も人民軍隊を真心を込めて援護し、愛する夫と子供たちを祖国統一聖戦の先頭に立たせ・・」と主張する中で、「祖国統一聖戦」との表現を用いている。

 更に、「『親米親日屈従尹錫悦を打倒しよう!』、『尹錫悦を終わらせるときまで力強く戦おう!』 傀儡地域で第38回ろうそく集会と示威、民主労総労働者追慕集会展開」と題する記事は、韓国で開催された反対集会の写真など8枚を付して、それら状況を報じている。同記事に限られたことではないが、ここで韓国を指して、従前の「南朝鮮」ではなく「傀儡地域」と表現していることが注目される。

 こうした動向は、基本的には、そうして喚起した「怒り」のエネルギーを国内建設に向けさせようとするものと考えられる。そうした狙いは、前掲下線部分の主張と本日の社説「偉大な戦勝世代の後代らしく祖国解放戦争勝利70周年を高い政治的熱意と労力的成果で迎えよう」の趣旨が符合することからもうかがえるところである。

 とは言え、前掲の「祖国統一聖戦」や「傀儡地域」との表現や朴僅恵元大統領退陣時を彷彿させる韓国内反政府動向に関する報道ぶりなどを見ると、ここにきて、北朝鮮の対韓モードに相当の変化が生じているとの印象を禁じ得ない。それが、今後、どのような形で具体化されるのか、注視が必要であろう。