rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月10日 国防相代弁人が談話を発表、米国に警告

 

 本日、朝鮮中央通信は、「危険千万な米国の挑発的軍事活動を注視する」と題し、国防省代弁人の10日付け談話を報道した。同談話の骨子は、次のとおりである。

  • 「最近、米国防総省は戦略原子力潜水艦朝鮮半島の作戦水域に進入させようとする企図を公式発表した」ことは、「共和国と周辺国家に対する最も露骨な核の恐喝であり、地域と世界の平和と安全に対する重大な脅威、挑戦である」
  • 「米国が朝鮮民主主義人民共和国の主権を侵害する軍事偵察行為になお一層熱を上げているのも看過できない」「今月だけでも、去る2日から9日まで連続8日間にわたって・・我々の戦略的縦深地域に対する挑発的な空中偵察行為を繰り広げた」「特に、朝鮮東海では数回も米空軍戦略偵察機が・・領空を数十キロも侵犯する事件が発生した」
  • 「(このように)偵察活動を戦時水準以上に露骨にするのは、我々の主権に対する明白な威嚇であり、地域情勢を取り返しのつかない破局的な状況へ追い込む重大な挑発行為である」「米国の挑発的な空中偵察行為は、必ず代償を払うことになる」
  • 「米国の挑発的な全ての行動は、直ちに中止されなければならない」「日ごとに増大する米国の危険極まりない挑発的な全ての軍事行動に厳重な警告を送る」

 このような談話の発表が単に米国への牽制のための恒例的なものであるのか、あるいは、「朝鮮半島地域で誰が挑発して誰が自制し、誰が脅かして誰が脅かされるのか」を国際的にアピールし、今後における何らかの対応行動実施の際の自己正当化のための布石としての狙いを込めたものであるのか、注目される。

 米国がこうした談話によって、戦略核潜水艦の韓国寄港計画を撤回したり、空中偵察活動を低下させたりするとは考え難い(北朝鮮もそれを期待していないであろう)ことから勘案すると、後者の可能性も否定できないのではないだろうか。