rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年11月17日 国防相代弁人が米国防長官の訪韓を非難の談話発表

 

 朝鮮中央通信は、11月16日、「朝鮮半島地域の平和と安全は、我が革命武力によってしっかりと担保されるであろう」との見出しの下、オースチン米国防長官の訪韓時における韓国との合意内容などを非難する国防部代弁人の談話を報じた。その骨子は、次のとおりである。

  • 「12~14日に行われた米軍部当局者どもの傀儡地域行脚」では、「『対応型抑制戦略』を改正し、米日傀儡3者間のリアルタイム・ミサイル情報共有体系を年内に稼働することに合意」したことなどを通じて、「自らの対朝鮮軍事的態勢が決して防衛的なものではなく、朝鮮民主主義人民共和国に対する武力侵攻を目的としていることを自らさらけだした」。
  • 「今年にも敵どもは・・・我が共和国に対する核脅威を階段式に拡大してきた」が、「(そうした中でも)軍事的衝突が起きないのは、全面的に朝鮮民主主義人民共和国武力が強力な対応態勢により米国とその追従勢力どもの軍事的蠢動を徹底して抑制しているからである」
  • 「共和国武力は、・・米国とその同盟勢力どもの進化する軍事的脅威形態と性格に対処して、より攻勢的で圧倒的な対応力と可視的な戦略的抑制軍事行動により国家の安全利益に対するあらゆる脅威を強力に統制管理していくであろう」

 同談話の中で注目されるのは、米韓の敵対的行動を「抑制」して「脅威を統制管理していく」との表現である。これは、自らの軍事力をあくまでも「抑止」のためのもの、あるいは状況の「統制管理」による危機の回避のためのものと位置付けようとの姿勢を示したものいえる。同談話は、本日の労働新聞には掲載されておらず、こうした主張は、国際社会に向けたアピールを主な狙いにしたものと考えられる。