rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年8月27日 コロナ防疫措置を緩和、自国民の帰国を許容

 

 本日の「労働新聞」は、「国家非常防疫司令部通報」(8月26日)を掲載した。同「通報」は、「世界的な悪性伝染病感染状況が緩和したことと関連して防疫等級を調整」した結果、「海外に在留していた我が公民の帰国が承認された」ことを明らかにした。

 なお、「帰国した人員は、1週間、該当隔離施設において徹底した医学的監視を受ける」とのことである。

 実際の往来状況でも、既に8月22日から北京・平壌間の航空便(週3便)が再開され、中国からの北朝鮮国民の帰国が報じられていた。

 ただし、これを見る限り、許容されたのは自国民の帰国だけであり、外国人(ないし在外僑胞)の入国については、依然制限されている可能性がある。

 いずれにせよ、世間的には、地獄のように思われている北朝鮮であるが、2020年1月以来、突然のコロナ防疫措置のため長期間にわたり帰国の道を閉ざされていた人々の中には、待ちに待った帰国、家族との再会などを喜ぶ人々も少なくないのではないだろうか。

一方、内心では帰国を望まない人も存在するであろう。そういう人の中には、今がラストチャンスと思って韓国への逃避を目指す人もいるかもしれず、また、そういう人を狙いとした韓国側からの積極的な受け入れの動きもあるかもしれない。同時に、北朝鮮の保衛当局側も、当然それを予測して警戒・統制を強めているであろう。ここしばらくの間、そうした「綱引き」が水面下で展開されていくのではないだろうか。