rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月9日 金正恩の第5回全国母親大会参加者との記念写真撮影を報道

 

 本日の「労働新聞」は、第1面及び第2面を費やして、金正恩が12月8日、第5回全国母親大会参加者と記念写真を撮影したことを報じる記事及び同写真を掲載した。これには、金徳訓総理と李日換秘書が同席した。また、金正恩は、同大会で少年団祝賀団を務めた少年少女らとも会い、写真を撮影した。同記事が伝えるその際の金正恩発言などは、次のとおりである。

・ 「家事はすなわち国事であり、社会の細胞である各家庭が丈夫で血気旺盛であってこそ、社会主義大家庭が一層興るようになる・・第5回全国母親大会を契機に社会の清新さと美しい未来を培っていくこの国の母親たちの高潔な生が心強く育つ全ての子供の大きな誇りと栄誉に、わが党と国家の尽きない力としてさらに輝くようになった」

・ 「全ての参加者は、共産主義的母親の誉れ高い称号とともに、この世のどの母親も受けられない栄光と幸福の絶頂に立たせる金正恩総書記の大いなる愛と信頼を命脈として刻み、忠誠と愛国の家風、国風をしっかりつなぎ、繁栄する強国の建設に真に寄与するという燃えるような決意を固めた」

 なお、同大会参加者の大会閉幕(4日)後の動向については、5日の「贈り物伝達集会」(6日付け本ブログ参照)に続いて、祝賀公演の観覧(6日)や万景台をはじめとする平壌市内各所革命史跡地・博物館などの参観に加え、玉流館、清流館、柳京院、蒼光院などのサービス・娯楽施設での「楽しいひと時」などの様子が報じられていた(7日、8日付け)。金正恩との記念写真撮影は、こうした一連の活動の締めくくりであろう。

 金正恩は、同大会に関し、初日の開会辞、2日目の演説、そしてこの記念写真撮影と3回も登場しており、そこからだけでも、「母親大会」を重視する姿勢がうかがえる。その狙いが、既に述べたとおり、全国の母親及びそれを通じた、その夫、息子・娘たちの動員強化にあることは、前掲の金正恩発言などからも改めて確認できる。

 「母親」に対する格別の思いは、古今東西を問わないところであろうが、同大会(一連の関連動向を含めて)は、そうした人々の思いを巧みに衝いたものであり、ニュース録画で映し出される大会会場の熱狂的な盛り上がり(「集団トランス状態」と言っても過言ではない)は、そうした企図が成功したことを示しているといえよう。

 余談であるが、金正恩の初日の「開会辞」は、肉声で放映された。肉声放送は久々のことだ(何時以来とは特定できない)が、ややしわがれたその声は、以前にも増して金日成を彷彿させるものとなってきたように感じる。

 金日成の話が出たので、更に余談を続けると、先般来、「主体朝鮮の太陽、金正恩将軍万歳」とのスローガンが各種野外集会などでしばしば掲示されている。従前、「太陽」というのは金日成を象徴する言葉であったし、「将軍様」は金正日の代名詞であった。その二つを合わせて金正恩に用いるというのは、宣伝次元では相当画期的な出来事と言えるのではないだろうか。