rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月18日 弾道ミサイルを連続発射、国防省代弁人談話発表

 

 韓国軍等によると、北朝鮮は、12月17日午後10時38分ころ平壌付近から短距離弾道ミサイル1発を発射、約570㎞(防衛庁によると約400㎞)、最高高度約50㎞を飛行して東(日本)海に落下したという。

 また、本日(18日)午前8時24分には、平壌付近から大陸間弾道ミサイルを高角度で発射、約1,000㎞飛行し東(日本)海に落下した、高度は約6,000㎞と推定されるという。なお、防衛庁は、落下時刻を9時37分ころ(飛行時間73分)と推定している由である。

 こうした中、朝鮮中央通信は、17日、北朝鮮防相代弁人が「敵対勢力のいかなる核使用企図も先制的で壊滅的な対応に直面するであろう」と題する談話(同日付け)を発表したことを報じた。その骨子は、次のとおりである。

  • 米韓は、去る15日ワシントンで開催した第2回「核協議グループ」会合後、「来年の半ばごろまで『核戦略計画および運用に関する指針』と『拡張抑止体制』の構築を完成し、来年の8月に『ウルチ・フリーダム・シールド』大規模合同軍事演習の期間に核作戦演習を施行するということを公開した」
  • 「これは・・露骨な核対決宣言」であり、「(こうした)無分別な軍事的妄動を強く糾弾、排撃する」
  • 米韓の年初来の行動により、「朝鮮半島地域での核の衝突危機は刻一刻、可能性に関する問題ではなく、時点に関する問題に変わっている」
  • 「我々は、・・米国の挑発的行為を絶対に座視しないであろう」し、「米国とその追随勢力の核戦争挑発企図を徹底的に無力化させて、朝鮮半島と地域の平和と安全を頼もしく保障し、国家主権と領土完整、人民の権益を守り抜くための自己の憲法的義務を忠実に履行するであろう」
  • 「共和国に対する敵対勢力のいかなる武力使用企図も、先制的で壊滅的な対応に直面するであろう」

 同談話は、直接には今次ミサイル発射などについて言及していないが、そこに関連のあることはいうまでもないであろう。問題は、この2回の発射をもって、「武力使用企図」すなわち先般の米韓核協議グループ会合の結果に対抗するための「先制的で壊滅的な対応」が終わるのか否かであり、今後しばらく、様々な軍事活動を継続する可能性もあると考えておいた方が無難であろう。

 なお、北朝鮮の今次大陸間弾道ミサイル発射は、7月12日、金正恩の立ち合いの下、新型固定燃料型エンジン搭載の「火星砲18」を打ち上げて以来、約4か月ぶりのことである。この際は、「1段階は標準弾道飛行方式で、2,3段階は高角飛行方式で設定」し、「最大頂点高度6,648.4㎞、飛行距離1,001.2㎞、朝鮮東海(日本海)公海上の目標水域に正確に弾着」したと報じている。今回の飛行時間はこのとき(74分)とほぼ同じとされるので、同様の高度に達しているのであろう。北朝鮮が明日、今次発射に関していかに報じるかが注目される。

ちなみに、北朝鮮による弾道ミサイル発射は、今年に入って通算で21回だそうである。