rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年9月24日 金予正が談話発表、米原潜の釜山入港を非難(加筆版)

 

 朝鮮中央通信は、本日午後、「釜山港に現れた異常物体:米国の戦略資産は朝鮮半島地域で自分の安息処を見いだすことができないだろう」と題して、米原潜の釜山入港を非難する金予正党副部長の談話を報道した。同談話の骨子は、次のとおりである(25日加筆:同談話は、25日付け「労働新聞」に掲載)。

  • 「共和国国家首班の直属独立情報機関である航空宇宙偵察所は去る23日10時3分10秒、韓国釜山港の常時注目対象であるある埠頭で異常物体を捕捉し(た)・・原子力潜水艦が出現したのである」
  • 「最新原子力潜水艦まで韓国釜山港に公開的に姿を現した」のは、「世界の面前で『力の優位』を意図的に示威する」ためである
  • 「今、米国は朝鮮半島・・地域で反米自主の強力な力の実体、正義守護の堡塁が台頭したのを極めて恐れている」
  • 「このため米国は、我が共和国と自主的な主権国家(複数)を武力で制圧する一方、不安焦燥する追従の群れを『縛りつける』ために地域で各種大小の軍事ブロックを組織しつつ朝鮮半島とその周辺地域に核戦略資産を総投射している」
  • 「(しかし)米原子力潜水艦の釜山入港、これは・・米国が相手にしている超強力の実体の前では決して恐怖の対象になりえない。・・我々は、韓国のすべての港と軍事基地が安全な所になりえないという事実を引き続き知らせるようにするであろう」

 韓国報道によると、米海軍バージニア級核潜水艦「バーモント艦」(SSN-792 7,800t)が23日午前、釜山南区の海軍作戦司令部釜山作戦基地に入港した由である。

 金予正が談話を発表したのは、去る7月14日と16日、韓国からの宣伝ビラ送付を非難して以来約2か月ぶりになる。

 今次談話で最も注目されるのは、冒頭で、「国家首班の直属独立情報機関である航空宇宙偵察所」が米原潜の釜山入港を秒単位で把握したと主張している点であろう。ただ、北朝鮮偵察衛星が本当に朝鮮半島を「常時」監視できる態勢であるとは考え難く、そのような主張は文字通りには信用しがたい。韓国の報道あるいは釜山に配置している工作員によるヒューミントを利用したものではないだろうか。そうした主張の狙いは、韓国で揶揄された自前の偵察衛星の実力を誇示することにあると思われるが、同時に、自分が「国家首班の直属独立情報機関」の報告を直ちに知り得る立場にあることを自慢したいとの意向も透けて見える(考え過ぎか?)

 一方、情勢認識などに関しては、朝鮮半島地域に「反米自主の強力な力の実体、正義守護の堡塁が台頭した」ことに対して米国やその「追従」勢力が不安・焦燥していると主張していることが注目される。これは要するに、朝ロの関係緊密化に対して、日米韓などが警戒感を強め対応強化に努めていることの北朝鮮流の表現とも言え、必ずしも的外れな主張とはいえない。こうした表現からは、双方の行動が互いに警戒心を惹起し合って、緊張激化を招いていることについて自覚しているとも考えられる。しかし、分かってはいても、そうしたチキンゲームから自分から進んで降りるわけにはいかないのであろう。