rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月10日 論説「我々式社会主義の不変の発展針路―自力更生」(12月11日記)

 

 本論説は、「歴史の突風を真っ向に受けて勇進する主体朝鮮の勝利の前途を輝かしく明らかにされた偉大な業績 敬愛する最高領導者金正恩同志の聖なる主体108(2019)年の革命実録を広げて」との共通題目の下で掲載されたいくつかの記事の一つである。いわば、前掲ブログで紹介した論説が総論とすれば、それを受けた各論の一つといえよう。

 本論説は、「自力更生」路線の実践において金正恩が具体的にいかなる指導をしたのか、いかなる問題に尽力したのかをうかがわせている点で注目に値すると考える。

 本論説は、まず、「自力更生」の位置づけについて、「決して情勢の要求や前進途上に置かれた一時的な難関を克服するための戦術的な対策に関する問題」ではなく、「社会主義建設の全路程において恒久的に堅持していくべき戦略的問題」であるとして、その重要性を強調した上で、金正恩がその実践において、次のような諸問題について、適切な解答を示したとしている。

 すなわち、その「理論実践的問題」においては、①「自力経済の土台を拡大補強し国の経済を新たな成長段階へと移行させることのできる確固たる担保を準備する問題」、②「国家の経済的潜在力を余すところなく発揚させる問題」、③「科学技術と教育を自力更生大進軍の牽引機として堅持していくについての問題」、④「自力更生する我が人民の力を一層噴出させるための宣伝攻勢を斬新に展開することについての問題」である。

 また、「思想問題」として、①「科学技術重視観点と働きぶりを国風として確立することに関する思想」、②「(行政区画である各)道の間の競争熱風で国の全般的、全面的発展を成し遂げることについての思想」、③「50年、100年先を見通して基準を正しく立て、前進することについての思想」、④「全社会的に数字を重視することについての思想」、⑤「幹部が着想力、組織力、掌握力、指導力、展開力を所有することについての思想」などを示したと主張する。

 ここで「理論実践的問題」と「思想問題」との区別は判然とせず、基本方針的なものと一時的戦術的なものが混在しているようにも見えるが、いずれにせよ、このような様々な次元の取組みが「自力更生」の名の下で展開されているということが分かる。

 換言すると、「自力更生」路線とは、例えば、科学技術重視や幹部の資質、「数字重視」などを含む多義的なものであるということである。同時に、折々に打ち出される各種の運動、キャンペーン、スローガンなどが「自力更生」の推進に向け目的意識的に組織・展開されていることが理解でき興味深い。