rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月16日 果樹部門2019年社会主義生産競争総括集会

 

 「品種を増やし品質と味の良い果物生産において転換を起こすべく鼓舞推進」と題する本日付けの記事は、標記集会の様子を紹介するものである。

 記事は、「しばらく前に・・・中央労働者会館」で開催された同集会において、郡単位での果物の生産競争の結果、優秀な成果を上げた郡が表彰されたこと及び表彰された郡の名前・順位などを報じている。

 また、同集会ではあわせて、「(果樹生産関連の)科学技術発表会と講習」や「果樹部門成果展示会」が行われたほか、「果物品評会審査結果が発表され、優秀な団体に該当する証書が授与」されたという。

 記事の標題に端的に示されているように、今年の果樹部門の主たる狙いは、品種の多様化と品質(味)の向上であり、「社会主義競争」はじめ上述のような様々な方策は、その推進を主目的として推進されたと考えられる。一方、生産量については、昨年比「数万トン」の増産とされており、「多収穫郡」などの表現も用いられているものの、それ自体をさほど大きな成果として誇示するような書きぶりではない。

 以前の本ブログ記事でも述べたことだが、食糧つまり穀物の「不足」が伝えられる北朝鮮において、果物分野においてさえ、「量」ではなく「質」の改善が主な取組み目標になっているということは、一体どのように説明されるべきなのだろうか。北朝鮮の「食糧不足」という前提について、具体的にどういった実態を指すものなのか、改めて検証の要があることを指摘したい。