rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月17日 「敬愛する最高領導者金正恩同志が銀波郡人民病院と大清里住民世帯に医薬品を送られた」

 

 標記記事は、15日、金正恩が送った洪水被災地あての医薬品が銀波郡に到着し、同地でその「伝達集会」が開催されたことを報じる記事である。同集会では、宮恵英(音訳)同郡党委員長が「伝達辞」を通じて、金正恩が「被害地域住民のために恩情のこもった措置」を取ってくれたことを強調し、それを受けた討論者らが「最高領導者同志の天のような恩徳を心臓に深く刻み、人民の世の中、人民の国を輝かしていく道に知恵と熱情をみな捧げていく熱意」を披歴したとされる。この宮委員長がおそらく金正恩の被災地視察時に現場説明などを行っていた女性であろう。

 本日の「労働新聞」には、これに加えて、2種類の洪水関連記事が掲載されている。

 一つ目は、「党中央委員会第7期第16回政治局会議決定貫徹において幹部としての本分を全うしていく火のような決意」との共通題目の下に掲載された各層幹部らの投稿文である。その内訳は、冒頭の「大衆の思想精神力を最大に噴出させ」と題する党副委員長李日愌(宣伝扇動部長)の投稿に続き、「愛民献身の歩みに心臓の歩幅を合わせて」(江原道党委員長)、「戦時輸送を保障したあの時のように」(鉄道省参謀長)、「人民の住みかを最上の水準で」(銀波郡で復旧活動中の朝鮮人民軍軍官)、「セメント増産の力強い槌音で」(建設建材工業省副相)の5件である。

 二つ目は、「洪水被害を至急癒し、長雨期被害防止対策を引き続き隙間なく」との共通題目の下、各部門ないし各地の取り組みぶりを紹介する記事である。その題目は、「道路拡張工事と地帯整理を力強く推進」「逓信、送配電系統復旧を優先的な課題として」「党の呼びかけに心臓で回答して」(慈江道内各地状況)、「沿岸管理を中心課題として取り組むとき」(殷律郡、海岸防潮堤保守に注力)、「石炭生産を中断なく推進できるように 得場地区炭鉱連合企業所において」となっている。

 ちなみに、コロナ対策に関しては、「党中央委員会政治局決定を高く奉じ非常防疫戦をより力強く展開しよう」との共通題目下、「全面的に責任を持つ立場で」と題する記事をはじめ4件の記事が各地・各部門の取り組みなどを紹介している。

 上記記事をはじめ、このところに一連の報道振りからは、13日の政治局会議の決定を経て、ようやく昨日ころから洪水被害対策に本腰を入れる態勢が整ったことがうかがわれる。ただ、その中で最も強調されているのは、被害の復旧・防止対策そのものというよりは、金正恩の「恩情」「愛民」姿勢であるようにも感じられる。