rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月8日 社説「党中央委員会12月全員会議の課題貫徹に総邁進しよう」

  

 先の党中央委会議決定の意義及びその推進方法についての解説である。既に本ブログで指摘してきた点の繰り返しも含まれるが改めて紹介したい。

 まず、会議ないし同決定の意義としては、「敵の制裁圧迫を無力化」することと「国家管理と経済事業などに存在する不足点と偏向を克服」することの2点をあげる。

 前者については、「我々が自らの威力を強化し自力更生、自給自足の貴重な財富をより多く創造するほど敵はより一層大きな悩みに陥ることになり、社会主義勝利の日はそれだけ促進される」としている。つまり、「自力更生」を貫徹することが経済制裁という敵の戦略を破たんさせることになるとの論理である。

 後者については、「敵との熾烈な対決は常に自らの力量強化のための事業を同伴し、自分を強くする事業が先行してこそ主動に立ち、勝利を勝ち取ることができる」と述べ、その推進の必要性の根拠(動機づけ)として「敵との熾烈な対決」状況をあげつつ、まずは自力の充実が「先行」すべきことを強調している。なお、ここでは「不足点と偏向」についての具体的な言及はない(それについては、本日付け評論「今日の正面突破戦において基本戦線は経済戦線」の項参照。後刻アップ予定)。

 次に会議決定すなわち「正面突破戦」推進上の重点として、次の4点をあげている。

 第一は、「今日の正面突破戦において必ずや勝利者になるとの決死の覚悟」を抱くことである。そのためには、「個人利己主義、保身主義、敗北主義、本位主義(自分の所属単位の利害を優先させる考え方)のようなあらゆる雑思想を革命的爆風で無慈悲に吹き飛ばし、堅忍不抜の攻撃精神だけが全社会に漲るようにしなければならない」とされる。要するに、各人に意識革命を求めている。

 第二は、着実な取り組みによる問題の解決である。「これも、あれもという方式で広げるのではなく、自分の部門、単位で一番引っかかっている問題、中心点に力量を集中し突破口を開き、その成果を引き続き拡大していく」という方式を求めている。従前は総花式取り組みが多かったということであろうか。

 第三は、「幹部が正面突破戦において旗手、機関車になる」ことである。当然のことのようにも思われるが、現実はそうではないらしい。「(幹部は)自分が革命の前進を妨害する邪魔物、発展を抑制するブレーキになっていないかを自らふりかえってみなければならない」というのだから、指導部の幹部を見る目がいかに厳しいかがうかがわれる。

 最後は、「党組織の役割を決定的に高める」ことである。これは、様々な課題への取組み上の重点として、しばしば取り上げられる点であるが、注目されるのは、そこで行うべき思想教育の中身である。すなわち、「幹部と党員と勤労者の中で華麗な変身のため我々の尊厳と安全を売ることは絶対に出来ないということ、今後も制裁の中で生きなければならないということを既定事実化し、制裁解除や情勢緩和に対して些細な未練も持ってはならないということを明白に植え付けなければならない」としている。ここからは、国内各層における「制裁緩和」への「未練」がいかに根深いかが改めてうかがわれる。