rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月12日 金属工業部門の課題と取組み方針

 

 本日の「労働新聞」は、金属工業部門関係の記事をいくつか掲載している。同部門は、「正面突破戦」における「主要工業部門」の中で筆頭に位置付けられており、その振興に向け特段の努力を訴えるものであろう。

 その中の一つで、「正面突破戦の開拓路を我々が力強く切り開こう! 金属工業が決起するよう総力を集中する」と題する金属工業相・金忠傑(音訳)の投稿記事は、同部門の課題及び省としての今年の重点取組み方針などに言及している。

 同記事は、まず、同部門が直面する当面課題として、「生産正常化、原価低下、質向上」をあげている。そして、これまでそれら課題が解決できなかった理由として、「資金不足を云々し、また現実に解決を持たれる技術的問題を一つ一つ着実に解決していくことに注力できなかった」「関連部門と単位において何かが円満に保障されるのを座って待っている」などの取り組み姿勢上の問題点を指摘している。

 その上で、今年の取組み方針としては、①「既に整備された主体鉄生産工程を科学的に完備すること」、②「鉄鋼材生産能力をエネルギー節約型に拡大していくこと」、③「国の鋼鉄基盤をしっかりと立てること」をあげている。なお、③の具体的内容については、「鉄生産単位、鉱石生産単位、耐火物と電極生産単位など省傘下のすべての単位の現存生産実態をはっきりと掌握し、保守整備すべき対象を綿密に検討し、古い設備に対する技術革新、部分的な技術改造計画も具体的に立てた」としている。

 以上を総じてみると、色々と言葉は並べ立てているが、要するに、従前、本来行うべきことを行っていなかったので、今後は、それらを着実に行っていきます、と言っているだけのようにも感じられる。最重点部門において、この程度の取組みであるとすれば、「正面突破戦」の具体的成果は余り期待できないようにも思える。

 しかし、昨日の本ブログでも指摘したように、「正面突破戦」とは、そもそもそういった意識改革を狙いにしたものであるとすれば、この金属工業相の投稿記事は、それに十分応える「模範解答」であるのかもしれない。