rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月25日 論説「主体の思想論は朝鮮革命の永遠の百勝の旗幟である」

 

 標記論説は、金正恩が2014年2月25日、党第8回思想イルクン大会において、「革命的な思想攻勢によって最後の勝利をはやめよう」と題する演説を行って6周年を迎えるに際し、掲載されたものである。

 論説は、冒頭に、同演説中の「我々は全社会の金日成金正日主義化を党の最高綱領として高く掲げ、思想の力、一心団結の力で必ず朝鮮革命を完遂しなければならない」との部分を引用した上で、そのような目標に向け「現時期、思想事業を攻勢的に展開する上で重要なこと」として、次のような点をあげている。

 第一は、「内容と形式、方法を不断に研究し、発展させること」である。要するにマンネリ化を防げということで、「一部単位では思想事業が人々の具体的な生活と心の中に深く浸透できないでいるのは、過去の古い格式と枠にとらわれているため」であり、「思想事業において反復は禁物である」と戒めている。なお、ここでそれを説明するために「医者が患者治療で薬に対する耐性が生じれば・・・新しい薬を使う」との比喩を用いており、興味深い。

 第二は、「将来を見通し策略的に進行していくこと」である。ここで「策略的」というのは悪い意味ではなく、「戦略的」といった趣旨であろう。具体的には、対外的には「帝国主義者どもを政治思想的に制圧」し、内部的には「非社会主義と退廃的な思想文化を革命的な思想文化で一掃する」ことを目指すべきとする。このうち前者については、「我々の思想と偉業の正当性を広く宣伝し、帝国主義者どもの脆弱性と醜悪な正体をはっきりと暴露する対敵言論戦、電波戦」を強力に展開し、「我が共和国の国際的影響力を一層強化」することなどを、また、後者については、「ブルジョア思想文化の浸透経路を徹底して遮断するとともに、我が党の思想と政策が脈打つ革命的な思想文化、人民の美しい夢と理想が込められている民族的香りがあふれる我々式の健全な文化を積極的に創造普及」することなどを求めている。

 第三は、「幹部と党員の役割を高めること」であり、幹部と党員が大衆の信頼を得られるよう進んで努力し、それを基礎に影響力を行使することを求めている。

 要するに、思想事業すなわち、思想教育と宣伝扇動活動の実施に当たって、形式的・画一的ではなく創造的・柔軟・多様な方法で、防御的ではなく攻勢的に、大衆一人一人の心に分け入って、推進することを求めるものといえよう。ただし、そうした努力がどの程度、現実的な効果を生むか、すなわち北朝鮮の人々の心にいかなる影響を及ぼすことができるのか、はまた別の問題であり、関心のもたれるところでもある。