rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月10日 「最も優越した我々の思想文化を徹底して固守し、より輝かしていこう」

 

 標記の共通題目の下、評論1件と記事4件が掲載されている。概要のみ紹介したい。なお、ここで「思想文化」とは、イデオロギー的な側面よりも、むしろ道徳や生活規範、人情風俗といった意味合いで用いられているのが特徴的である。

 まず、最初は、「思想文化陣地を固める上で提起される重要な要求」と題する評論である。それは何かというと、「まず思想教養と思想闘争をより強く展開すること」及び「次に我々の社会主義思想文化を積極的に発展させていくこと」の2点があげられる。前者は防御的、後者は攻勢的なものと位置付けられている。

 次の記事は、「健全な思想、高尚な文化の所有者に」と題し、平壌市青年同盟委員会及び臥牛峰銀河加工工場初級党委員会における思想文化活動の実例を紹介するものである。

 また、「徳と情で睦ましい社会主義大家庭が一番」と題する記事は、国内各機関の措置や個人の善行などを取り上げて、「人民大衆中心の我々式社会主義制度下において我が人民が発揮している高尚な思想精神的風貌は、社会主義思想文化と道徳の優越性をはっきりと示してくれる生きた証拠である」と主張する。

 「端正で気迫ある姿」と題する記事は、理容院で整髪を終えた若い男性客と女性理容師の写真を掲げて、「頭髪をすっきりと刈り上げたのでどれだけ端正で覇気と熱情にあふれて見えることか。整髪もこのように時代的要求と社会主義生活様式に合わせて高尚にしなければならない」と訴えている。ちなみに、その男性客の髪型は、いわゆる「刈り上げ」スタイルである。

 最後の記事は、「民族の固有の挨拶法」と題し、「頭を下げ、腰を曲げてあいさつするのは、我々式のあいさつ法である」として、他国の風俗に比して、その優越性を主張している。コロナ騒動の時期だけに、「握手」などに比してそれが「衛生的」と言われると、説得力もありそうである。

 これほどに「我々の思想文化」の優越性主張ないし固守の訴えを、いわば手を変え品を変えて力説するということは、それに対する危機感がそれだけ強いということの反映であろう。

 余談だが、若者の髪型へのこだわりは、私にとっては、1970年代、朴正熙政権下の韓国における学生の長髪取り締まりを彷彿とさせるものである。そう思うと、両人の主張や政策に共通点がないわけではないようにもみえる。その点については、いずれ、しっかり検討してみたい。