rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月10日 論説「自分のものに対する愛と信頼が全人民的な思想感情にならなければならない」

 

 標記論説は、「我々の思想と文化、道徳に対する矜持と自負心を持つこと」の重要性を訴えるものである。

 論説は、それが「帝国主義者の反動的な思想文化的浸透策動がより一層悪辣になっている現時期、切実な問題」になっているとして、「時代が前進するのに即して思想文化事業を絶え間なく深化発展させ、難しく苦しいときであるほど、誰もが『一人は全体のために、全体は一人のために』とのスローガンを高く掲げて革命的同志愛と集団的美風を高く発揚していくよう思想事業を強化」することを訴えている。

 なかでも強調されるのが青年層に対する働きかけであり、「青年が我々の思想と文化、道徳に対する矜持感と堅持してこそ、いかなる雑思想にも染まらず、祖国と民族の明日を背負っていく頼もしい働き手」たりうると主張している。

 そして、それを実現するための方法論としては、「時代の志向と文明の高さに合った革命的で高尚な社会主義生活文化を絶え間なく創造し発展させていく」ことをあげている。

 このような主張は、細胞秘書大会での金正恩の訴えとも通底するもののように思える。青年層への対策強調がその端的な例であるが、それにとどまらず、「一人は全体の・・」とのスローガンの強調に示されるような社会的連帯強化の訴えも、それに含まれよう。

 その背景としては、北朝鮮指導部の中で、青年層をはじめ社会全般に利己主義的風潮が蔓延しており、それがこのところの経済困難の中で体制の不安定化要因ともなりかねないとの危機感が強まっていることが考えられる。