rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月27日 論説「青年教養において提起される重要な要求」(5月28日記)

 

 青年層に対する教養事業(教育活動)の重要性については、これまでも繰り返いし主張されているが、本論説も、それに符合するもので、青年教養を行う上での主要目標を示すものである。

 まず掲げるのは、「青年達を我が党の偉大性によってしっかりと武装させ、彼らがただ党の示す一路だけを力強く真っすぐに進んでいくようにすること」である。

 次は、「青年達が社会主義に対する確固たる信念を持ち強く戦っていくようにすること」である。評論は、このことの重要性を強調するために「戦争によって破壊された物質的財富はまた整備することができるが、社会主義を推し進めていくべき青年達の精神的、道徳的破滅は、何によっても挽回することはできない」と説いている。

 最後にあげられているのが「青年達が自力自彊の精神を骨に深く刻むようにすること」であり、そのためには、「現在、我々が警戒すべきは、輸入病と他人に対する依存心である」と主張する。

 評論は、以上の要求を掲げた上で、青年教養の重要性について、「他の事業では我が世代ができなかったことを後代が補充することもできるが、青年達を育てる事業は、誰かが補充することも、代わって行うこともできない。これは、まさに我が世代に託された重大かつ責任ある任務である」と主張している。

 以上のような主張において、冒頭の「党の偉大性」というのは、金正恩の偉大性という意味と考えてよいであろうが、そういった指導者、体制、そして基本路線に対する信念の扶植が最重要課題であるということは、それらが概して動揺・欠乏しているということの反映ではないだろうか。更に、このところの各種論調(手近な例をあげれば、27日に掲載の評論「党政策絶対信奉者」)などから推測すると、それらは青年層だけにとどまらず社会各層に共通する現象であるようにも思える。そして、指導部ないし当局がそういった現象への対策の支点として利用しているのは、愛国心及び民族的尊厳と「敵どもの策動」に対する警戒心、というのが現在の北朝鮮の思想状況における大局的構図ではないだろうか。