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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月24日 「師範教育機関の教員陣営強化に優先的力を」

 

 本日の「労働新聞」は、「党政策貫徹のための道間競争ニュース 教育革命の火の手を強く起こし人材育成事業において画期的な転換をもたらそう」との共通タイトルの下、教育分野における各地の模範的取り組み事例などを紹介する記事を掲載している。

 標記記事は、同共通タイトルの下で、「各道において師範教育機関の教員陣営強化のためどれだけ努力したか」について、「今年第1・4半期間の評価資料」に基づき報じたものである。

 その評価基準は、各地の師範教育機関における教員の定員充足率と教育内容改善実績の二項目からなるとされる。なお、後者は、具体的には「現在の大学教員数にしたがって(1人当たりの意味か)、新たに作成した教授要綱と遠隔教授案数、遠隔画像会議体系を通じて実施した学術討論会に参加し教員が発表した科目数を比較して判定」したという。

 結果、沙里院師範大学、南浦師範大学が両項目共に優秀とされ、教育内容改善実績については、平壌市内の教員養成部門の大学(複数)が上位を占めたとされる。総合的には、黄海北道沙里院が所在)、南浦市、平壌市、平安北道咸鏡南道が実績を評価されている。

 一方、教員数不足が指摘されたのは松島師範大学(開城市所在)、海州教員大学(黄海南道所在)であり、教育内容改善実績については、松島師範大学、江界第一師範大学(慈江道所在)、同第二師範大学、同教員大学、恵山教員大学(両江道所在)などが劣るとされ、これら大学が所在する市・道の努力不足が指摘された。

 なお、北朝鮮においては、師範大学は新任教員養成を目的とした大学、教員大学というのは現役教員の再教育を目的とした大学とされており、「師範教育機関」というのは、この両者をあわせたものと考えられる。

 上記評価結果を見ると、同じ黄海道地方にありながら、沙里院と開城の成績が対照的なのは意外であるが、それを除くと、平壌市はじめ都市部が優れ、中朝国境内陸部の慈江道、両江道が劣るとされているのは、地域の実力(経済力、文化の集積度など)の反映ではないかと考えられる。

 ただ、いずれにせよ、このような地方の取組み実績などを明らかにするというのは、いわば「透明性向上」の流れに沿ったものであり、金正恩時代の特徴の一つとして特記するに値すると考える。

 そう言うと、では、金正恩自身の「重体」説などを生む不透明さはどうなのか、との反論を受けそうだが、それは別格の問題であろう。

 ちなみに、同問題をめぐって一部には、北朝鮮のメディアは、国外でこうした「健康不安」説が流れると、数日以内にはそれを反証するような報道を行うのが通例で、それがなければ何かが起きていると見るべき、などとの説が流布されているが、本当ですかと首をかしげざるを得ない。数日前の日本のテレビ番組でも「(日本の)外務省幹部」がその種の発言をしたと伝えていたが、「フェイク・ニュース」と信じたい。