rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月24日 社説「領導業績単位の機関車的役割は正面突破戦の推動力」

 

 「領導業績単位」とは、かつて金日成金正日らの現地指導を受けたことがある工場・企業所などの「単位」を指す言葉である。その例として、4月22日の本ブログで取り上げた記事が紹介した「2・8ビナロン連合企業所」をあげることができる。北朝鮮では、「領導業績単位」であることは大いなる誇りとされ、その後も長く模範的役割を果たすことが期待されている。

 標記社説は、そのような「領導業績単位」に対して、「正面突破戦」に取り組む国家全体の発展を先導する役割を果たすよう改めて訴えたものである。

 社説は、まず「今、我が党は、領導業績単位が主体的力、内的動力強化において模範となり、国の全面的、持続的発展を主動する牽引車になることを望んでいる」とした上で、その狙いを二つの側面から説明している。

 第一は、「全国に首領の遺訓貫徹戦、党政策擁衛戦の火の手を燃え上がらせるため」である。漠然とした主張のようでもあるが、注目されるのは、その中心課題を「人民生活向上」に絞っていることである。すなわち、「(金日成金正日の)遺訓の中で最も重要な問題は人民生活を速やかに向上させることであり、党政策の正当性と生活力(効力、有効性の意)が人民生活において現れなければならないというのが我が党の志である」と主張する。ここで「党」とは金正恩を指すと考えてよいであろう。

 第二は、「社会主義建設全般において絶え間なく奇跡と革新を起こすため」である。「人々は、継続革新、継続前進していく領導業績単位の発展相を通じて、いくらでも難関を突破していくことができるとの自信感と度胸、追いつき追い越そうとする競争心と奮発心を持つようになる」ことが期待されているのである。それは、まさに「時代発展に応じて不断に新たな基準を創造していく単位」を求める金正恩の志を反映したものであろう。

 また、それに続く「領導業績単位がより高い目標を目指して奮発していくとき、至る所で追いつき追い越す、従い学ぶ、経験交換運動が活発に展開され、集団的革新、連帯的革新が起こるであろう」との主張からは、「領導業績単位」での「模範創造経験」をその他単位に普及するための運動が予定されていることがうかがえる。

 「領導業績単位」に着目した以上のような主張は、金日成金正日の権威を改めて強調するものようにも見える。しかし、そこで実際に強調されているのは、「人民生活向上」と「時代発展に応じた新たな基準」の追求であり、それらは、まさに金正恩が今日、望み求めている課題にほかならない。

 その意味で、本社説は、金正恩が先代達の権威を利用しても、決してその「遺訓」に呪縛されているわけではないことを示す、一つの端的な例といえよう。