rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月21日 論説「肯定感化教養は、真の革命家を育てる重要な事業」

 

 標記論説にいう「肯定感化教養」とは、「大衆の中で創造される模範的な事実を積極的に押し立て、(他の人が)従い学ぶようにすることによって、人々を主体型の革命家として改造し、革命と建設に力強く呼び起こす思想教養(教育)方法」である。

 論説は、冒頭、「全国に互いに助け導き合う美風、集団主義気風が溢れるようにし、前進の気象、飛躍の熱風が強く吹くようにするためには、肯定感化教養をより強化しなければならない」とした上で、その目的、方法について次のとおり主張する。

 まず目的の一つ目は、「党の思想と領導に無限に忠実な我が人民の革命的風貌を力強く誇示する」ことである。これは、具体的には「党の思想と決心は、すなわち科学であり勝利であることを偉大な現実で確証した党政策絶対信奉者」を模範とした教育により、「どこででも決死擁衛、決死貫徹の喊声がこだまし、驚異的な成果が成し遂げられる」ようにすることである。最近の状況に即して言えば、順川リン肥料工場の建設や江原道における各種取組みなどについての宣伝活動が、こういった「肯定感化教養」の実例といえよう。

 目的の二つ目は、「すべての人を祖国と人民、社会と集団のために献身する真の人間として育てる」ことである。これは、端的に言えば、「(自分の)家庭のことよりも国のことをより大切にし、自分よりも同志と集団をまず考える」ようにするということであろう。要するに利他的精神の訴えであろう。のその模範例としてあげられているのは、「愛国の熱い血と汗を国防力強化に惜しみなく捧げる国防科学戦士達」「困難で大変な哨所を代を継いで守る家庭達」「島分校と最前線地帯、山奥の学校に志願進出した教育者達」である。

 方法論として強調されているのは、「肯定(模範)の芽、美風の芽、革新の芽を積極的に探し出して押し立ててやること」である。ここで興味深いのは、むしろ問題を抱えた人などを対象にして、彼らの行動の中に「肯定の芽」を探し出し、「その側面を積極的に助長発展させ、彼らを先進分子、積極分子とする」ことこそに「幹部のやりがいがあり、栄誉がある」としていることである。このような訴えからは、この活動がいわゆる「模範生」だけを対象にしたものではないことがうかがえる。

 「模範」の創造とその一般化により全体の底上げを図るというのは、金日成時代から続く労働党の伝統的・典型的活動方式であり、以上の「肯定感化教養」も、その一環をなすものといえるが、その目的として掲げられた上述の2点、すなわち、党政策に対する絶対的信奉と利他的精神は、すぐれて今日的状況を反映したもの、すなわち今最も求められている事柄なのではないだろうか。