rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月1日 「北部高山地帯にビタミン樹林造成」

 

 標記記事は、「両江道の北部高山にビタミン樹林を大々的に造成できる展望がひろがっている」ことを伝えるもの。

 そもそも、「ビタミン樹」とは何か。記事の中に直接説明する文言はないが、「(その植林を進めた結果)多くの量の果実も収穫し、薬剤生産に利用した」との記述があるので、何かのビタミン・サプリメントの原料になる実がなる木のようである。特定の品種なのか、そういった樹木一般を指す表現なのかも判然としないが、興味深い。

 記事は、「近年、道では該当単位との連携の下に優良品種のビタミン樹数十万株を70余町歩の面積に導入栽培した」として、研究機関の品種改良努力なども含め、これまでの普及経緯を紹介している。

 発想としては、各地で地元の山々を「黄金山」、すなわち実り豊かな、経済的実益を挙げることのできる地として活用できるよう、開発していこうとの考え方があり、その実践例として、このビタミン樹の植林・栽培が紹介されているようである。

 余談であるが、「ポツンと一軒家」というテレビ番組を見ていると、今は人里離れた山中の一軒家の周辺も、昔は、何世帯かが入植して開墾やら植林やらの努力をして、様々な経済活動が営まれていたことが分かる(米、野菜の栽培はもちろん、シイタケ栽培、養鶏、養魚などなど)。また、現在でも、高齢者が自力で同様の活動を継続していることが紹介される場合も少なくない。

 推測するに、北朝鮮の「黄金山」運動も、そういった山の持つ潜在的可能性を引き出すことを企図したものではないだろうか。特に、山岳地帯の多い北部地域などで、そうした活動を推奨することによって(中央からの支援は最小限に留めつつ)、住民生活の底上げを実現しようとしているのではないかと考える。