rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月11日 社説「科学者、技術者は、正面突破戦の開拓路を開いていく斥候兵になろう」

 

 標記社説は、題目から明らかなとおり、「今日、我々が依拠すべき無尽蔵な戦略資産は科学技術である」との立場から、科学者・技術者に対して一層の成果を求めるものである。そのような主張自体は、かねて繰り返されてきたもので何らの新味もないが、注目されるのは、科学・技術面での打開が特に期待されている問題を具体的に挙げていることである。以下、それについての言及を紹介したい。

 まず、「主要工業部門において鍵となる意義を持つ」問題としては、「電力工業部門において酸素や重油を使わず無煙炭で火力発電所ボイラーの着火及び燃焼安定化を実現する問題、金属工業部門においてエネルギー節約型酸素熱法溶鉱炉を建設するための問題、そして化学工業部門において順天リン肥料工場建設で提起される科学技術的問題」「人民経済各部門で切実に要求される酸素農化膜(?)製造技術・・苛性ソーダ生産技術を確立する問題」などがあげられている。

 また、農業部門に関しては、「耐塩性の強いイネの新品種を育種し、その栽培技術を確立する問題」があげられている。

 さらに、情報技術分野では、「経済作戦と指揮の情報化を高い水準で実現し、自然災害に対応するための国家的な管理体系を立てる問題」が提起されている。

 私としては、これらの意味する科学技術的意義を理解することはできないが、北朝鮮が直面して必要とする科学技術的課題が具体的に何であるかを理解することは、その水準を的確に把握することにつながるだけでなく、北朝鮮との協力を志向する上で、あるいは逆にその情報入手を阻止する上で、有用ではないかと考える。