rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月30日 評論「言語生活において主体性と民族性を積極的に生かしていこう  平壌文化語と我々の生活」

 

 標記評論は、「平壌文化語」すなわち北朝鮮の標準語の使用を推奨するものである。

 まず、朝鮮語の優秀性を論じた上で、「我が民族語の固有の特性は、平壌言葉に集中的に具現されている。平壌文化語を積極的に活用することは、朝鮮語の固有の特性を活かすための重要な要求である」と主張している。

 そして、それを推奨する理由として、「平壌文化語を積極的に活用し、より輝かせ、言語生活において主体を確固として立てることは、決して実務的な問題ではない。それは、あらゆる異色的で不健全な思想文化と生活様式の浸透から我々の民族性を固守するか否かという問題であると同時に、さらには我々の思想と文化を守るか否かという極めて深刻な政治的問題である」としている。

 以上のような表現、とりわけ「浸透」との言葉から、「平壌文化語」使用の推奨が、地方の方言を念頭においての標準語使用の推奨という次元の問題ではないことがうかがわれる。とすれば、この評論は、やはり巷間伝えられる、北朝鮮での韓国語的なアクセントであるとか語彙・語法などの蔓延という現象を念頭においた主張であると考えられる。そう考えることによって、最後の「我々の思想と文化を守るか否か」という表現も理解できる。

 そして、これは我田引水であるが、先日、活発に展開された対韓非難宣伝のキャンペーンも、同様の背景・狙いに基づくものと考えられる。ビラ散布をめぐる宣伝キャンペーンは、いったん収束した形だが、こうした「内なる韓国化」の払拭に向けた思想活動は、今後とも粘り強く進められていくであろう。