rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月3日 党中央委政治局第7期第14回拡大会議開催

 

 標記会議が7月2日に開催されたことが報じられた。

 同会議は、政治局メンバーに加え、党中央委幹部、内閣・省・中央機関メンバー、道党委員長、道人民委員長、武力機関指揮メンバー、中央非常防疫指揮部メンバー、建設部門幹部らが傍聴し、金正恩が「政治局の委任」により「会議を司会され、重要結論」を述べたとされる。

 ちなみに、報道写真によると、会場主席壇は、金正恩を中央として、その左手に崔龍海、右手に朴奉柱が着席した3人だけで占められており、他の出席者はこれと対面する形で着席している。横に16人の列が6列あるので、出席者は、あわせて約100人ということになろう。政治局メンバーは、最前列及び2列目に着席している模様で、その余は、傍聴者であろう。

 注目の金与正は、はっきりしないが、おそらく最前列の右端から2人目あたりに着席しているようにみえる。横1列の着席者数は16人とみられるので、彼女の公式序列は13~14位前後ということになる。これは、前回6月の政治局会議における円卓での着席順位とも概ね一致する。彼女は、一連の対韓非難キャンペーンで存在感を随分と強めたが、その公式序列には変化が生じていないといえよう。

 報道された議題は、コロナ対策と平壌総合病院建設関係の2件である。

 前者については、「悪性伝染病を防ぐための6か月間の事業状況を総括し、国家非常防疫事業を強化し、今の防疫形成をより強固化するための問題を討議した」と報じられている。

 まず、金正恩が議題の趣旨を説明したとのことで、これまで感染者なく抑え込んだことを「誇らしい成果」としつつ、「警戒心を緩めることなく、最大に覚醒警戒し、防疫事業を再検討し、より厳格に実施すること」を求め、その中では「蔓延している放心と傍観、慢性化した現象と非常防疫規律違反現象について厳しく批判」したとされる。

 これに続いて、「6か月間の国家非常防疫事業状況についての報告」及びそれに関する討論がおこなわれ、「非常防疫体系を厳格に維持するためのより精密で適切な対策を講究していく」ことなどが指摘されたという。

 同会議でコロナ対策が改めて取り上げられたことについて、韓国あたりでは、蔓延を防ぎきれていないことの反映と解釈する向きもあるようだが、上述のような「慢性化」「緊張弛緩」批判(それは、コロナ対策をめぐる報道一般でも共通している)からすると、それは当たらないと考える。仮に一定規模の感染が発生していれば、公式報道にかかわらず、国内に噂として拡散するであろうし、そういう状況下であれば、「緊張弛緩」現象が起きるとは考えにくい。

 二番目の議題は、「平壌総合病院建設を促進し、医療奉仕のための人的及び物質技術的保障対策を講究することについての問題」とされる。

 これに関しても、金正恩がまず発言した模様で、「建築工事が日程計画どおりに頑強に推進されていることについて満足を表示された」という。その上で、「(同病院を)先進的な医療奉仕(サービス)を行うことができるよう世界的水準で立派に完工させる上で提起される問題(複数)を至急対策するための国家的な強力な措置を取って下さり、施工部門、資材保障部門、運営準備部門に提起される具体的な課題を提示された」と報じられている。

 病院建物が完成に近づくにつれ、今後は、内部の医療設備やそれを使う医療陣の体制整備などの課題が浮上しているのであろう。「国家的な強力な措置」というのは、おそらく金正恩の手元の外貨を使うことを意味しているのではないだろうか。

 ちなみに、韓国では、同病院の医療設備一括寄贈などのアイディアが取りざたされていたようだが、さすがに今となっては成就は難しいのではないだろうか。

 なお、同会議においては、以上の議題に加えて、「党対外事業と関連した重要な問題(複数)とその他の事項(複数)についての研究も進行された」とされるが、その内容についてはまったく言及されていない。このうち、「党対外事業」とは中国共産党との関係であろうか。「その他の事業」については、見当もつかないが、秘匿されているだけにむしろ関心が掻き立てられる。先日の「予備会議」開催を受けて早晩の開催が見込まれる中央軍事委員会第7期第5回会議とも関連して、軍事関連の可能性も否定できない。おとなしくしているだけに北朝鮮の動向には一層の注視が必要と考える。