rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月23日 「被災民は郡党庁舎で、勤務員は天幕で 銀波郡大清里が伝える人民に対する熱火のような愛の新伝説」

 

 標記記事は、先に金正恩が視察した銀波郡大清里の被災者らが、金正恩の指示に基づき、銀波郡の党委員会庁舎などに準備された避難部屋において、党勤務員らの配慮を受けつつ何不自由ない生活を送っており(一方、場所を譲り渡した党勤務員らは臨時の天幕を張って、そこで執務)、それに感動していることを伝えたもの。

 また、金正恩が視察に先立ち、同郡の「事業をはじめて1年余り過ぎた40代の女性郡党委員長」に直接電話を掛け、被害状況を聴取するとともに慰労の言葉を伝えたことなどもあわせて紹介している。

 こういった一連のできごと(おそらく今後の復興住宅の建設なども含めて)を金正恩の人民に対する深い「恩情」を示す「新たな伝説」として創造しようとしていることがうかがえる。

 なお、同日、洪水対策関係では、「洪水被害を至急癒し、長雨期被害防止対策を隙間なく立てよう」との共通題目下、黄海北道はじめ各地における被害復旧・防止への取組ぶりを紹介する記事が7件掲載されている。気象予報によると、今週半ばに台風が朝鮮半島を縦断する模様で、北朝鮮においても、新たな被害が予測される。「伝説」作りに腐心する前に、更なる被害の極小化に全力を集中すべきときとも思われるが、余計なお世話か。