rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

11月12日 朴奉柱が「現地了解」先で人事措置を実施か?(加筆訂正版)

 

 本日の「労働新聞」は、朴奉柱(党常務委員会委員・副委員長、元総理)が「平安北道内の諸単位を現地了解」した(期日は言及せず)ことを伝える記事を掲載した。

 注目されるのは、その中で、新義州化学繊維工場を訪れた際に「現地で行われた協議会では、工場改築現代化工事に必要な資材と設備保障対策を徹底して立て提起された科学研究事業を積極的に推進するための組織事業があった」とされている点である。

 高位幹部の「現地了解」関連報道で、「協議会」の開催が報じられるのは極めて通例的であるが、その結果については、「・・・について協議された」などとされるのが大半で、今回のように「組織事業」に言及されるのは極めて異例である(私が気付いた限りでは)。

 同記事の「組織事業」が何を意味するのか、判然とはしないが、党の会議などでの議題として「組織問題」と言った場合は、人事異動(任免・補選など)を指すことから、ここでも当該工場の人事関連措置が取り扱われた可能性を指摘することができよう。

 そうであるとすれば、要するに、「現地了解」を行った幹部は、「了解」先の業務の適切な運営に必要と認めた場合、幹部人事をその場で決定できる権限を与えられているということになる。これは、従来考えられていた以上の権限付与と言えるのではないだろうか。

 先般、高位幹部の災害被災地訪問に関し、「指導」との表現が用いられ、極めて異例のことと指摘したが、その後は報道において「指導」の表現が使われることはなく、従前の「現地指導」が一貫して使われている。

 しかし、今回の報道は、表現こそ「現地了解」と従前と同様だが、その内実において、従前以上の権限行使を伝えたものである可能性もあり、その実情が注目される。

以下、加筆分 

 当初、以上のように書いてアップしたのだが、その後、よく考えてみると、同記事の言う「組織事業」とは、その前に書かれている資材・設備の確保や科学技術促進などに必要な諸々の措置・対策といったことについて、担当者の決定や役割分担なども含めた具体的な計画や段取りなどを立てる作業という意味とも解せるし、前後関係からも自然な解釈に思える。仮に人事異動的な措置が講じられたとしても、そういう意味でのものに過ぎず、前述の「従前以上の権限行使」というのは、過大な解釈ということになる。同記事についての判断は留保することとしたい。