rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月26日 社説「新たな5カ年計画遂行のための経済作戦を綿密に立てて行こう」

 

 標記社説は、各部門・単位などにおいて、党大会で決定された「国家経済発展5カ年計画」の実践計画をいかに立てるべきかを論じたものである。

 まず、「自らの部門と単位の事業を根本的に革新することができるよう(各部門・単位の)計画を正しく立て(る)」こととして、現実的に実現可能であり、かつ(その前提で)「大胆」「動員的」なものであることを求めている。これは、従前の「5カ年戦略」が主観的な希望による過大な目標設定のため達成できなかったとの「教訓」を踏まえたものであろう。

 次に、「徹底して自己の力と技術に基づき、内的動力を強化するため」のものとすることを求めている。すなわち、「原料、資材の国産化再資源化を生命線として堅持し、我々の力と技術、我々の資源に依拠して飛躍を起こすことのできる妙術を求め、計画に反映させなければならない」という。それを換言すると、「いかなる苛酷な試練の中でも自己の部門と単位事業を偏波性なく主動的に活気を持って前進させることができる作戦案」である。これは、「5カ年計画」が「自力更生」を基調としていることの如実な反映といえる。端的に言えば、経済制裁が続いても、貿易が途絶えても、持続可能な態勢を目指すと言うことであろう。

 更に、「大衆の集団的知恵と意見を充分に反映し、彼らの思想精神力を余すところなく発揚させる原則」を求めている。「戦闘計画をすべての従業員の充分な討議を経て、修正すべきは修正し、補充すべきは補充して、大衆自身のためのものとして、いかなることがあっても無条件に貫徹すべき課題になるように」しなければならないというのである。これは、前掲の現実可能性と外部への依存払拭という狙いを改めて確認しつつ、それを大衆の参画による責任感引き出しによって更に担保していこうとの狙いによるものと考えられる。

 加えて、「任務分担をしっかり行う(盛り込む)こと」、すなわち。「責任幹部だけでなく、個別的な従業員に至るまで、任務分担を明確にし、毎日の責任量を正確に確定」することも求めている。ここでも、今次計画を確実に達成していきたいとの強い意向がうかがわれる。

 このほか、「各時期に提示される党の路線と方針を戦闘計画に敏感に反映し、完璧に執行」することも」もあげられている。これは、現在与えられている課題の実現だけで汲々とするのではなく、将来ありうる追加的な目標設定などにも柔軟に対応していくことを求めるものとであろう。

 これがどれだけ実現可能なのかはともかく、北朝鮮指導部が現場に期待する企業運営の方向性を示すものとして興味深い。