rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月1日 「5カ年計画」の滑り出しは順調?

 

 標記に関しては、昨日の本ブログで悲観的な見方を示したが、本日の「労働新聞」に掲載された「党の領導に従って新たな勝利に向かって信念高く前進 人民経済主要部門において1月戦闘目標輝かしく遂行」と題する記事によると、そのような見方は早計であったようにも思える。

 同記事によると、化学工業部門、火力発電部門、鉄道運輸部門においては、それぞれ「5カ年計画」に基づく1月の目標を遂行したという。これに昨日紹介の記事で報じられた金属工業部門を加えると、「人民経済主要部門」における「5カ年計画」の滑り出しは概ね順調ということになるのかもしれない。

 しかし、それはあくまでも「量」の次元であり、「質」の次元の改善については、今後、粘り強い取り組みが必要になると思われる。その問題に関しては、同日の「労働新聞」にも関連記事が掲載されている。例えば、「検査手段と方法の現代化における主人は誰か」という評論は、経済活動に関与する皆が主人として、「質」の確保向上のため検査方法の現代化に努めなければならないとして、この問題の重要性を強調している。また、「品質監督事業を革新していく新たな決意を抱いて」と題する記事は、「品質監督局」が活動の強化を目指している旨を紹介している。

 ただ、「質」の改善と言うのは、単純に数字で示せる「量」の増加に比すると、その結果を具体的に把握しにくい面もあると思われる。市場経済的な「販売競争」などが機能しない中で、「質」の改善をいかに評価し、また報酬に反映させていくのか、具体策を見出すのは「現代的な検査方法」をもってしても、なかなか容易ではないと思われる。「人民に対する奉仕の精神」とか「国家経済に対する責任感」といった精神主義的呼びかけ、あるいは前述記事で紹介されている「品質監督局」といった機関の行政的監督だけでは、限界があるのではないだろうか。