rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月31日 「党大会決定貫徹のための経済作戦討議深化 国家経済指導機関において」

 

 標記は、本日の「労働新聞」に「皆が新たな5カ年計画遂行のための闘争へ!」との共通題目の下掲載された記事である。

 同記事は、「新たな5カ年計画遂行の重要なカギの一つが経済管理改善にかかっている」とした上で、内閣の経済管理強化に向けた取組みについて、「国家の経済司令部である内閣においては、現段階の党の経済戦略に立脚して経済事業に対する国家の統一的指導を実現していく強い規律と秩序を立てることに中心を置いて、作戦と方略を具体的に現実性をもって樹立している」と報じている。なお、ここで「内閣」とは、具体的には、添付の写真で紹介されている内閣事務局を指すものと考えられる。

 また、「国家計画委員会と中央統計局、財政省などでは、国家経済の自立性と計画性、人民性を強化するための事業体系と方法を革新する上で提起される方法的問題に対する研究討議を深化させている」として、各部署の取組みを紹介している。このうち、おそらく国家計画委員会に関すると思われる部分では、「経済事業の客観的条件と生産可能性、潜在力に対する科学的な打算に基づき現実性のある計画を作成示達し、計画執行状況を厳格に総括しつつ、示達した計画を正確に執行するようにすることに討議が集中している」と報じている。

 新たな「5カ年計画」における経済管理に関して、中央の指導を復活強化する傾向がうかがわれることは、これまで本ブログでも繰り返し紹介してきたところだが、この記事は、そのことを、経済管理の実行主体である内閣の関連部署における取組みの面から改めて示したものといえよう。

 なお、同じ共通題目の下では、「偉大な闘争綱領を高く掲げて最初の進軍歩幅を力強く踏み出した  人民経済諸部門で初月生産計画輝かしく完遂」と題する記事も掲載されている。同記事によると、金属工業部門では、「(1月)30日現在、銑鉄と鋼鉄、酸化鉄、ケイ素鉄・・などすべての指標に対する生産計画を結束する成果を収めた」としている。ただし、部門全体として目標完遂が報じられているのは同部門だけで、その他は、「機械工業部門の諸単位」が「初月生産目標を完遂した」とするなど、個別的な単位の成果報道にとどまっている。「現実性のある計画」を立てた割には、計画開始早々にして「完遂」はできていないことがうかがわれる。同計画の前途にも厳しさが予見される。