rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月26日 金正恩平壌市内の新たな住宅街建設構想を提示

 

 昨日、平壌市内の1万世帯用住宅建設着工式(24日)への金正恩の参席が報じられたのに続き、今日は、同人がそれとは別枠で新たな住宅街を建設するとの構想を示し、党・政府高官を帯同して現地を視察したことが報じられた。

 それは、普通門付近江岸地区の「護岸階段式住宅」と称するもので、記事に付された完成予想図には、(普通江とみられる)川岸にそって中高層の集合住宅が複雑に連接した景観が示されている。記事によると、同地区に建設されるのは800世帯分の住宅で、これを「平壌市1万世帯住宅建設とは別途に党中央委員会が直接掌握して建設を推進し今年中に完工させ、党と国家のため献身的に服務している各部門の労力革新者(革新的な生産成果を上げた労働者を指す)、功労者と科学者。教育者、文筆家をはじめとする勤労者に贈り物とする」という。そして、同地区の住宅建設は、「我が国住宅区の見本となるように立派に建設」することとし、「都市建設を建物と自然を一つに融合させ、生活空間と生態空間を科学的に配置し、業務と休息、交通などを有機的に結合」することなどが強調されている。

 なお、同日の「労働新聞」には、金正恩が「新たに生産した旅客バス試作品を了解」したことに関する記事も掲載されている。ここでも上記と同じ幹部の同行が報じられているので、おそらく一連の行動であろう。記事に付された写真には、一般のバスと2階建てバスの写真があり、記事によると、これらは党の意向を受けて、「平壌市旅客運輸総合企業所と平壌バス工場」が開発したものであり、「首都旅客輸送の緊張性(混雑)を解決し、市民の交通上の利便を最大限図ること」が強調されていることから、平壌市内での利用を想定して製造されるものとみられる。いずれ、平壌市内に2階建てバスが登場するということである。

 このところの金正恩による1万世帯住宅建設着工式への参席及び上記の行動は、平壌市民の生活向上に向けた同人の主導的努力を印象付けるものであるが、それだけに他の「5か年計画」全体への副作用が生じる恐れがないのか、改めて疑問を呈さざるを得ない。

 ちなみに、これら行動の日にちは報道されていないが、おそらく前掲ミサイル発射と同日の25日に行われたものであろう。ミサイル発射現場での指導は李炳哲にまかせ、金正恩平壌の市民生活に直結する事業を視察するという日程設定からは、「経済建設優先」という方針を内外に印象付ける思惑をうかがうことができる。