rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年8月9日 社説「非常な力と熱情で激難を洗い流し、偉大な新勝利に向けて勇進また勇進していこう」

 

 標記社説は、「今日、我々において史上例のない世界的な保健危機と長期的な封鎖(制裁)、災害性異常気象現象による困難とあい路は、戦争状況に劣らぬ試練の峠となっている」ことを認めた上で、その克服に向けた奮闘を訴えるものである。

 社説は、まず、「(そうした)難関を打開し社会主義建設の新たな高潮期を開くための全人民的総進軍は、勝算が確固とした闘争である」と主張し、その理由として、「敬愛する金正恩同志の天才的な英知と精力的な領導は新たな勝利を固く担保する決定的要因である」こと及び「我々には、暗酷な試練期を目覚ましい跳躍期として反転させてきた立派な歴史と伝統がある」ことなどをあげる。

 その上で、現在の困難を打開するために、①「首領に対する忠実性に基づいた我々の一心団結の不可抗力的威力を総爆発」させること、②「すべての人民が自力更生の創造大戦に一体となって奮起」すること、③「集団主義精神を最大に発揚」すること、④「幹部が覚醒奮発し託された部門と単位の事業で飛躍的革新を起こす火種となり機関車」となること、⑤「各級党組織が責任と役割を尽くす」ことなどを訴えている。

 ここに掲げられた「首領に対する忠実性」「自力更生」「集団主義」「幹部、党の役割発揮」とのスローガンは、いうまでもなくかねて繰り返されてきたものである。北朝鮮を襲う困難は、今般の咸鏡南道の水害など次々に押し寄せてくるが、それへの対策は、結局のところ、ひるむことなく皆で力を合わせてひたすら頑張ろうとの旧態依然たるスローガンを繰り返すだけという状況に陥っているようにみえる。

 韓国の文政権及び「進歩」勢力の間では、そういう状況を見て、今度こそ韓国からの「人道支援」を受け入れるのではとの期待が高まっているようであるが、果たしてそういう方向に進むのか、可能性は皆無ではないにせよ、疑問に思われる。