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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年8月26日 最高人民会議の9月召集を決定(加筆版:下線部)

 

 本日の「労働新聞」は、最高人民会議常任委員会第14期第16回会議が8月24日に開催されたこと及び同会議における次のような決定事項を報じた。

  • 最高人民会議第14期第5回会議を9月28日に招集。同会議における主な議題は、「市・郡発展法」及び「青年教養保障法」の採択、「人民経済計画法」の改正及び関連問題、「再資源化法」の執行検閲監督状況と関連した問題、組織(人事)問題
  • 道路交通法」改正:「人民の生命安全を保護し、利便を図ることができるよう道路交通の安全性と迅速性を保障するためのより細分化、具体化された内容が補充」
  • 「山林法」改正:「山林を人民経済発展と人民の福利増進に寄与しうるよう統一的で計画的に造成し管理することができるよう1カ章、19カ条の条文が補充」

 最高人民会議は、毎年1回、3~4月に開催されるのが通例であるが、今年は、党大会が開催されたことを受け、その直後の1月に開催されている。1年に2回の開催は、金正恩時代に入って以降は、2012年、14年、19年に次ぎ4回目となる。

 次回会議で採択ないし改正などが予定されていると報じられた法律の意義・注目点などは次のとおりである。

・「市・郡発展法」:3月に開催の市・郡責任秘書講習会における金正恩の指導を契機にこのところアピールされている市・郡の自助努力による経済建設の促進とりわけ住民の生活安定向上の実現などに関する事項を法制化。更に、「今後、15年の間に全国の200余個の市、郡のすべての里をすべて三池淵市に整備する農村里の水準で、社会主義理想村として転変させることが我が党の構想」(5月6日付け「労働新聞」評論)についても反映されるか注目。

・「青年教養保障法」の採択:いうまでもなくこのところの青年層に対する宣伝教化活動強化の方針を法制面でも裏打ちするもの。昨年末の「反動思想文化排撃法」採択に継ぐ思想活動関連の法制化の動き。

・「人民経済計画法」の改正及び関連問題:先般来主張されている「経済に対する国家の統一的指揮」の実効性を高めるための法整備と思われるが、具体的には、折々に示唆されてきた経済管理制度の改善に関する研究・検討内容などがどの程度反映されるか、そしてそれがどのようなものであるのかに注目

・「再資源化法」:経済建設における喫緊の重要課題の一つであるリサイクルに関する各部門・単位の取り組み状況に対する監督の強化のための方策

 余談であるが、本日の「労働新聞」は、昨日の「先軍節」に関連して、平壌市内をはじめとする各地で青年及び女性同盟の舞踏会がそれぞれ開催されたことを伝えている(なお、これら記事には「偉大な領導者金正日同志が革命武力に対する領導の初の足跡を刻まれた61周年を慶祝して」との共通題目が付されており、先軍節」の表現は用いられていない:昨日付け本ブログ参照)。こうした記念日における青年の舞踏会開催は既に恒例化しているようだが、それに女性同盟の舞踏会も加えられたとみられる。勝手な推測であるが、こうした行事開催は、各層に韓国風のダンスなどが蔓延していることを踏まえて、それへの対抗策として進められているのではないだろうか。前掲の「青年教養保障法」もそのような流れを受けて、外来文化の抑制・禁圧にとどまらずより能動的な「教養」(教育の意)を与えていこうとするものではないかと予測している。