rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月15日 朝鮮人民軍総参謀部代弁人が再度の「発表」

 

 本日の朝鮮中央通信は、同日付け「朝鮮人民軍総参謀部代弁人発表」を昨日に続いて掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 10月13日に続いて、14日にも午前9時45分頃、わが軍第5軍団前方地域である南江原道鉄原一帯において、敵どもの砲射撃状況が捕捉された。
  • これに対処し、総参謀部は東部及び西部前線部隊が対応措置の一環として、14日17時から20時までの間、放射砲警告射撃を実施することとした。「(こうした)対応示威射撃は、前線地域で繰り返される敵どもの故意的な挑発策動に再度、明白な警告を送ることに目的がある」
  • 「今後も我が軍隊は、朝鮮半島の軍事的緊張を激化させる敵どものいかなる挑発策動も絶対に黙過せず、徹底的で圧倒的な軍事的対応措置を取っていくことになる」
  • 南朝鮮軍は、前線地域の軍事的緊張を誘発させる無謀な挑発行動を即時中断するべきである」

 この「発表」は、昨日の本ブログ追加版で紹介した、同日午後の東西両海岸付近での大量砲撃を説明(正当化)するためのものといえるが、14日の総参謀部代弁人発表と比較すると、「挑発」に対する「徹底的で圧倒的な軍事的対応措置」を予告するなど、一層厳しいものとなっている。

 今後、米韓側がこうした「警告」を受けて行動を自制するとは思えず、むしろ、抑止のための活動を強めていくものとみられ、事態が一層エスカレートする可能性も否定できないであろう。

 ただ、これまでのところ、昨日の総参謀部代弁人発表も含めこれら一連の動向については、金正恩が「指導」したとされる軍事訓練及び巡航ミサイル試射を除き、「労働新聞」などには掲載されていない。今日の「発表」については、明日の紙面を見ないと何とも言えないが、それも掲載されなければ、緊張を国内に持ち込む意図はないと判断することができよう。

 いずれにせよ、当面の情勢推移には、細心の注意が必要であろう。